最近シンガポールは雨がよく降り、一日中雨だとその日の夜と朝方はけっこう冷えます。しかも私の体は精密機械のように、日が暮れると急にクシャミが出始めます。そこまで温度差ないだろと思うんですが、身体は正直です。
そして先週ついに鼻づまりがひどくなり、これはもうダメだなと思って、久しぶりにクリニックに行ってきました。
クリニックと言っても、西洋医療ではなく、中医のほうです。
最後に行ったのはコロナが始まる前でしたから、本当に久しぶりです。
今思えば、9月末に日本に帰ってきてから、ずっと調子が思わしくなかったように思います。なぜ病院に行こうと思わなかったのかと思い返すに、不快が一日中続くわけではなく、特に日中は普通に元気だったし、熱も伴わなかったからだと思います。
最近、東洋医学の本を読み返して理解したんですが、東洋医学には「虚実(きょじつ)」という考え方があり、風邪でいうと
頭痛、鼻水、悪寒と、症状は軽いけど、悪化しやすく、治りにくいのが「虚証」で
関節痛や高熱と、症状は重いけど、比較的治りやすいのが「実証」になります。
今思えば私のは典型的な「虚証」ではないかと。
症状が軽ければいいというもんではないらしいです。
子供がよく高熱を出すのは元気だから、年を取ると熱を出す精力もなくなる、というのはけっこうよく聞きます。ワクチン接種でも、熱が出た人は割と「実証」タイプなのかもしれません。
というわけで、コロナ前に数回通った、Beo Cresent市場の横にある「和润中医诊所(He Run TCM Clinic)」に行ってきました。中国の西安出身の女医さんが一人でやっている小さなクリニックです。
TCMというのは、日本でいう「漢方」のことで、Traditional Chinese Medicine(伝統中国医学)の略です。
クリニックの近くには美味しそうなローカル料理の店がたくさんあり、通路で普通に天日干しなんかもしていて良い雰囲気です。
まずは脈診(手首の脈を計り健康状態を診察する方法)をしてもらったのですが、あなためちゃめちゃ弱ってるじゃない!脈の弱々しいこと!!と大変驚かれました。もう苦笑いするしかありません。
身体が女性と同じくらい「陰」に傾いていて、冷えに敏感になっているらしいです(基本的に男性は「陽」)
それから今までの経緯や、症状を色々説明し(奥さんに中国語で通訳してもらいながら)薬を処方してもらいました。色々な生薬が混ざったもので、食後に一日2回、できるだけ少量の水で飲めと言われました。
これを一週間分もらって、75ドル(7,500円)でした。高いか安いかは賛否両論あると思います。
私は以前なら高いと感じたと思いますが、今はけして高くはないと思っています。この一か月の不定愁訴の不快さたるやひどかったですし、どうやったって自分では治せそうにないと実感しましたから。
今回はとりあえず鼻づまりを治すのがメインだと言っていたので、薬がなくなってからまた行って診てもらうつもりです。
あと何回通わせられるかわかりませんが、鼻づまりだけではなく、根本的な冷え性や、痩せすぎなどもなんとか改善したいので、全て先生にお任せするつもりです。
もちろん処方された薬を飲むだけではなく、悪い習慣や食生活なども少しずつ止めていけなければなりません。思い当たるだけでも、タバコ、チョコレート、コーヒー、乳製品、スマホいじり、等ですかね。
これでも人よりは控えめだとは思ってますが、人と比べた所で、実際に効果が上がらなければ意味がないですから。
家に帰ってからは、別に熱もないのですが、高い薬を無駄にしてはいけないと、厚着をしてずっと部屋で横になっていました。
3日目くらいには、だいぶ体調も良くなり、そろそろ外出もありかなと思ったので、精をつけるために一人でスッポンスープを食べに行きました。
場所はHougang(ホーガン)のとあるコピティアムに入っている、大成山瑞(Tai Seng Harbal Turtle Soup)という店です。シンガポールでは食用のスッポンは山瑞(シャンルイ)と呼ばれています。
一番安いのは15ドルだったんですが、ちょっとだけ奮発して20ドルのを注文してみました。
来たのは、スープと白飯と、謎のブランデーのボトル。
店のおじさんは、これ入れてねとだけ言い残して行ってしまったので、なんなのかはわかりませんでしたが、中には高麗人参のような物が漬かっていて、味はやや酸味のあるパンチの効いた液体でした。
入れ物からして、薬材を漬けたお酒なんだと思います。お酒じゃなかったらブランデーの入れ物で出す必要がないと思うので。
でもアルコールはほとんど感じませんでしたし、味を壊しそうでもなかったので、けっこうドバドバ入れてみました。
スープは思ったとおりの薬味がしっかり効いた味で、何杯か飲むと上半身から汗がぶわっと噴き出てきました。
具はゼラチン質の柔らかい部分と、めちゃくちゃ引き締まった繊維質の硬い肉でした。スルメ並みの硬さで、けっこう顎が疲れました。
前にゲイランの有名な店で食べたのは、肉からなにから全てトロトロだったので意外でした。どこの部位を出されたのかすごく気になります。
ほんとは内臓も食べたかったんですが、もしかしたらオプションであるのかも。
このような薬膳料理は久しく食べてなかったので、薬膳スープが五臓六腑に染みわたり、とても美味しかったです。やはり身体の喜ぶ食べ物はいいですね。
でも上の記事にも書きましたが、スッポンは陰を補うものみたいなので、私のような陰気体質は、身体を温める羊肉(ラム、マトン)の方がもっといいかもしれません。まぁ素人判断はよくないので、今度先生に聞いてみようと思います。
あるサイトでは、スッポンは以下のような人が食べると良いと書かれていました。
- 頬が赤い、喉がよく渇く。
- 寝汗をよくかく。
- よく微熱がでる。
- 手のひらや足の裏がほてる。
- 不眠症がある。
- 温まると具合が悪くなる。
- 舌の色が赤っぽい。
- 舌の苔が少ないか、ない。
- 痩せ気味。
陰陽のバランスでいうところの「陰」の成分が不足している人です。
要するに陰不足を補ってくれるのがスッポン料理というわけです。
あとは、スッポンは血をキレイにしてくれるというのも有名です。
そんなわけで、健康に関心がある割には、不調続きで、見た目もガリガリで不健康そうな私ですが、でも病気や不調があってこそ、健康のありがたみがわかったり、色々な気づきにも繋がるので、悪いことばかりではないと思っています。
傲慢さや虚栄心などの憑き物が取れるのも、本当に苦しいとき、疲れ切ったとき、絶望に打ちひしがれたときではないでしょうか。病で苦しんで死ぬなんてのも、案外最後の神の御慈悲なのかもしれません。
なんちゃって
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