シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

初・体・験『PUPAの飼育』

この間、急に友だちから連絡がきて、こんな事を聞かれました。

 

Pupa(ピューパ)ほしい?

 

さてPupaとは何のことでしょう?

 

1.ムカデ

2.青虫

3.蛹(さなぎ)

4.ヤモリ

 

はい、正解は

 

3番の、蛹(さなぎ)です。

 

ちなみに青虫は、Caterpillar(キャタピラー)

ヤモリは、Geckor(ゲッコー)

ムカデは知らん!!

 

うんほしい!と即答してみたんですが、蛹を飼うのは初めてです。

しかも蝶か蛾かすら知らんのに。

 

どうやら友だちは先日、Kranji(クランジ)にある、とある農場に行って、pupaをいくつかもらってきたのだとか。友だちはすでに5つ所有してるので、私にも2つくれるとのこと。

その日の夕方に、友だちがわざわざ家まで届けに来てくれました。

 

全体的に白い色をしている小振りな蛹は、もうすでに枝にくっついてピクリともしません。

友だちが「けっこう繊細な生き物らしいから、ちゃんと孵化するかどうかはわからない」と言っていたので、私はもう最初っからこの蛹はきっと孵化しないだろう、うん、間違いなくしない、と決めつけていました。

だって農場から一度友だちの家まで行って、さらに私の家まで来て、そうとう長い距離を旅してるし、MRTやバスの中で揺られて、エアコンにだってさらされて、そんな環境の変化にこの繊細な生物が耐えられるわけがない、と思っていたのです。

 

それでも生命をいただいたからには最後まで出来る事はやろうと思い、丁重に扱い、設置方を色々考えて、枝を本に挟み、以下のような感じになりました。

 

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とりあえずやる事はやったので、あとは間違って触れたり当たったりしないようにだけ気をつけて、ほぼ気にせずに数日過ごしました。

 

そして5、6日後に友だちから、彼の家の蛹が孵化したとの連絡が入りました。

写真を見せてもらいましたが、すごくキレイな蝶になっていました。

どうやら私の蛹も蝶になるみたいです。

 

そして、ヤンピンさんの所の蛹はどうだい?と聞かれて、まだ特に変化はないね、と答えたんですが、心の中では「たぶんもう死んでるから孵化しないよ」と漠然と思っていました。

 

そしてその次の日の夜ですね。

その日は家で晩酌をしすぎたせいなのか、遅くまでネットをしていたせいなのか、夜中の3時くらいに起きてしまい、それ以降寝付けず、小さいデスクライトをつけて朝まで机に向かって中国語の勉強をしていました。

そして夜が明けて朝7時くらいに明るくなりまして、なんとなく机の下を見たら、なんか血みたいな物が滴って、床に赤い液体のあとがついているのです。

 

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なんだろうと思ってその血糊の上を見上げてみると・・・

 

なんて事はしませんでした。

寝ぼけていたのか、そのままその血糊の事は放置し、8時くらいまで机に向かっていました。

 

そして奥さんが朝の散歩に出かけると言うので、それを見送ろうとやっと机を立ち上がった瞬間に目に入って来たのは

 

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孵化してるやん

 

そうですさっきの血糊のような物は、やはり蛹から垂れていたのです。

血ではないと思いますが、きっと胎盤?みたいなものなのかな。開くときに垂れたのでしょう。

 

もしかしたら私が真夜中にデスクライトつけて、せっせと机に向かってるときに、そーーっと殻を破って出て来ていたのかもしれません。なんかそれを思うと、ちょっと怖えなと思ったりなんかしちゃって。

 

でも2匹ともピクリともせず、ただ枝にぶら下がってジッとしてるんです。

こんなに静かなのに、すごい威圧感というか、生命のオーラを感じました。

 

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なんか漫画「寄生獣」で、シンイチが林の中で眠る後藤を発見したときのような感じです。何言ってるかよくわかんなかったらさーせん。

 

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そんな蝶々さん達は、それから2時間ばかりずっとこの状態だったんですが、昼前に1匹が突然羽ばたき、小さな部屋の中をパタパタし始めました。

そしてその30分後くらいにもう1匹も飛び始め、そしてなぜか壁の同じ所に2匹とも付着して、またじっと動かなくなりました。

 

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きっと私には聞こえない声で会話をしていたのかもしれません。

 

ねーねー ここどこ?

よくわかんないけど、私たち閉じ込められてるんじゃない?

どうにかしてここから逃げ出さないと。

 

 

CUBEか!!

 

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大丈夫、私はキミ達をこんな狭い世界に閉じ込めたりするつもりはないよ。

とはいえここは13階。

こんな高い所から外に出してもいいのか、ちょっと自信がなかったので、友だちに農場の友人に聞いてもらい、10分後に、出しても大丈夫だという連絡がきたので、部屋の窓からリリースしてあげました。

 

窓の前で何度かクルクルしながら、無事に大空へ飛び立って行きました。

 

私は子供がいないので、出産に立ち会ったことなどはなく、たぶんこれからもないと思うのですが、私が生命の神秘を感じたのはこの蝶の孵化が最初で最後になるかもしれません。

たかが蝶の孵化で大袈裟な、なんて思われるかもしれませんが、私には非常に印象深いものでした。

 

生命って繊細だけど、とても逞しいものだと感じました。

そしてきっと儚いのでしょう。儚いからこそ美しい。

私も、美しく儚く生きたいものです。

 

 

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