前回の話
バングラデシュ旅行記3 馬車に乗って河へ - シンガポール漂流生活
11/21(木)
朝起きると外はもう白んでいたが時間はまだ午前6時前。外はとても静か。7時半に最初のクラクションがなり、それを皮切りにまた徐々にうるさくなる。
8時頃に部屋を出て、レセプションでもう一泊分の料金を払い、朝飯を食べに外に出た。
近くの小さい食堂で、パラタとダル(豆のカリー)のような物を食べる。なかなか美味しかった。食堂で出された水もよく飲んでいるが今のところお腹は大丈夫。
パラタの他に、ここの食堂の人気メニューは、ごはんの上に水っぽいカレーをかけて、コロッケをのせて、それにお好みで食塩をかけて食べるというもの。バングラデシュの定番の朝ご飯なのかも。
ネットで調べたら外国人もモスクに入っていいみたいなので、昨日通ったバイトゥル・ムカロム(ダッカを代表するモスク)に行ってみた。しかしまだ閉まっていて、人に聞くと今日は12時にならないと開かないらしい。現在時刻はまだ9時半。
他に行く所はないかなと思ってネットで調べたが、色んなところが今日は閉まっていたり、開館時間が午後2時半とか。
しょうがないのでリクシャーに乗ってまたグリスタンまで行き、そこからオールドダッカの路地裏を歩いてみた。まだ半分以上の店は閉まっていて面白くない。
Googleマップで、オールドダッカにMuseum of Zoology(動物学博物館)というのを見つけ、もう開いてそうだったので、リクシャーで行ってみることにした。
リクシャーに乗っていると、信号待ちをしているときや走行中に、リクシャーと、CNGと、車とバイクと、リヤカーを引く男たちの間で、口喧嘩がたくさん起こった。
俺の車にぶつかっただの、押すなだの、割り込みするなだの、どこ走ってんだおまえだの。
みんな手までは出さないが、凄い剣幕で怒り罵り合っている。外国人には出る幕がなく、呆然と見ているしかない。
やはりこの慢性的な渋滞でフラストレーションがたまっているのだろうか。一つの口論が大勢の人を巻き込んで大勢での言い合いになったりもしたが、そのときにはなんとなく、富裕層と労働者という対立になっている気がした。
建物は奥まった所にあるらしく、近くでリクシャーを降りて、地図を見ながら歩いていくと、大学らしい所の敷地に入ってしまった。学生らしい人達に聞くと、構内の4階にあるというので行ってみた。他の教室では普通に授業などをしており、それを横目にある一室に通された。
そこも薄暗い教室で5、6人の生徒がいて自習をしていた。
教室の壁際にいくつか棚があり、そこに小さい動物や、魚や、甲殻類、それに胎児などのホルマリン漬け、あとはボロボロの剝製などが飾ってあるだけだった。一通り見せてもらいお礼を言って去った。
まさかこれがミュージアムだったとは。
大学を出て近くの交差点で、タバコを1本買って、お茶を一杯飲みながら一服入れる。シャッターが降りた店の前で一服していると、その店の人がシャッターを開けに来た。私がタバコを吸いながらお茶を飲んでるのを見て、トゥーコンディション(two condition)と言って笑っていた。ここではワンコンディションずつが基本なのだろう。
すぐ近くにバングラデシュ建国の父、ムジブル・ラーマン の写真があった。
あてもなく西に向かって歩き続け、生地などを売っているバザールの一角に腰を降ろし、どこに行こうかとガイドブックを眺めていたら、数人のオジさん達に声をかけられた。
ジャパンから来たと言うと、その中の一人のオジさんが日本語で話し始めた。千葉県で5年働いていたらしい。「~だけ」を乱用するユニークな日本語だった。
一人だけ日本から来た?今日は散歩だけする?来週だけもう日本に帰る?
オジさんと話していたら、いつのまにか人が集まってきて、四方を人に囲まれていた。20人くらいいて、さすがに戸惑う。みんな興味津々なキラキラした目をして私をみている。せっかくなので、みんなが写るように地面にカメラを置いて、記念写真を撮らせてもらい、みんなにお礼を言って立ち去ったが、依然として背中にもの凄く熱い視線を感じた。
すぐ近くにアーシャンモンジールという有名なピンク色の宮殿を見つけたが、やはりここも閉まっていた。今日はどこもかしこもクローズだ。
しかしそこに中国人の中年カップルがいて、門の前で写真を取り合っているのにはびっくりした。外国人に対する自分の反応も、もう地元の人と同じになってしまっている。なぜこんな所にアジア人が??と思って、他の人と一緒に目を丸くして凝視してしまった。
次はスターモスクという所に行こうとするが、リキシャーに名前を言っても断られる。(断るというか何も返事しないので私があきらめる)遠いのだろうか。
そこへ割ときちんとした身なりのオジさんが話しかけてきて、お決まりの質問をしてきた。ひとしきり話したところで、ところで20タカほどくれないかというので快くあげたら、そのお礼かわからないが、リキシャーを呼び止めて、スターモスクへ行くよう言ってくれた。しかも値切ってくれてるようで、リキシャーが少し困っている。
リキシャーの言い値で全然かまわないよと言い、乗せてもらった。
細い道を進んだが、渋滞で詰まったらしくまったく動かない。3分かけて1m進むような状態で20分くらいとろとろと進む。この慢性的な渋滞の深刻さがよくわかった。
ようやくリクシャーは小道を曲がり入り、水を得た魚のようにリクシャーを全力でこぎ、なんとかスターモスクに着いた。
しかしここも開いている感じはない。すると通りかかった一人の青年が英語で話しかけてきたのでモスクの事を聞くと、外国人は入れないよと言う。ネットなどには誰でも入れると書いていたのに。
その後も宗教について話して、私が青年の気を遣い、イスラム教徒ではないけどアッラーは尊敬しているよと言うと、ハッハッハそんなの当たり前だよと少し調子にのってきた感じがした。
お別れを言って立ち去ろうとすると、ちょうど一人の正装したオジさんが、中からモスクの門を開けに来たので、おじさんに聞いてみると、もちろん中に入ってもいいと言う。ああよかったと思って入ると、さきほどの青年も後ろからついてきた。
モスクの中から、「アッラーーーーーーーー」という声が聞こえてくる。一人の男性があぐらをかき、真剣な表情でその一言だけを延々と唱え続けていた。
中には噂通り富士山のタイルが貼ってあった。
他のオジさん達もとてもフレンドリーで、ゆっくりして行ってよと言ってくれたが、青年がついて来いとか、ここに座れとか、アッラーについて話しをしようとか言ってきて、ちょっと困った。宗教熱をこじらせている感じが否めない。
宗教家たるものまずは謙虚でなければ誰も耳を貸さないではないか。
そして写真を撮りたいというので、少し撮ってあげた。
モスクを出たあとも、お茶を飲もうというので一杯つきあった。おごってあげようと思ったら、代わりにおごってくれた。
このあともついて来たがっていたようだが、少し一人で少いて、すぐホテルに帰るからと、やんわり断りお別れした。
そこからチョウクバザールに出て、市場をグルグル歩いて見て回り、色々な人にからまれたり、他のモスクの中にも入ってみたりした。
つづくよ
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