前回の話
バングラデシュ旅行記5 ニューマーケットへ行く - シンガポール漂流生活
11/22(金)
朝8時頃、PCの充電をしようとしたが、アダプタをさしても充電できない。
おかしいなと思って、色んなスイッチを押したり消したりしていたら、清掃のおじさんが部屋に来てしまった。どうやらスタッフを呼ぶためのライトが、ドアの上のついていて、そのスイッチを押してしまったらしい。
オジさんにごめんなんでもないよと言っていると、オジさんの後ろから若者が覗き込んで私の顔をじっと見ている。
おじさんは帰ったが5分後くらいにまたノックの音がして、開けるとさっきの若者たちがいて、カタコトの英語で色々質問してきた。
邪険にするのも悪いので話しを聞いていたが、質問もなくなったのに、なかなか帰らないので、ちょっとこれからまだ少し寝るからとドアを閉めようとしたら、またあとで来ると言って去って行った。このホテルも今日チェックアウトだなと決心した。
朝ご飯を食べに外に出たら、車が少ないし、ホテルの前に出ていた露店もない。
ホテルの近くの食堂でまたパラタとダルを食べた。目玉焼きも注文したが結局来なかった。
ホテルに戻り、レセプションで今日は車が少ないけど休日なの?と聞いたら、そうだと言う。何の休日かと聞くと、バングラデシュは日曜じゃなくて金曜がメインの休みなんだとか。
今日これから船でChandpur(チャップル)という町に行こうと思ってるんだけどと相談すると、船の乗り方など色々教えてくれた。そして、休日ならホテルが取れるかどうか心配だなと言うと、オススメのホテルがあると言って、タージマハルホテルという名前と、簡単な住所を教えてくれた。
名前から思うにすごい高いホテルなんじゃないかと聞くと、うちと同じくらいだと言う。
チャップルの情報は、ガイドブックにはなかったが、ネットにはダッカから船で行ける町の一つだという情報が少しだけ書いていた。
部屋に戻り出発の用意をして、10時頃チェックアウトし、リクシャーに乗ってショドルガットに行った。休日の朝の道路は静かだ。
10TKで入場券を買って港内に入ったが、チャップルに行く船はもっと西のほうの船着き場だというので、一回港の外に出てそこまで歩き、もう一度入場券を買ってその船着き場に入った。
ショドルガットから5分ほど歩いたところにある、たしかLalkuthi ghatという名前の船着き場だと思ったが。
船は三艘停まっていたが、一番右のはもうたくさん乗客が乗っている。たぶんこれが先に出発するんだろうと思い、その隣りのに乗り込んだ。
そこにもすでにたくさんの人がいて、船首にあるチケットカウンターだと思われる所に人が群がっていた。
スタッフに料金の事を聞くと、チャップルまでの船旅はおよそ3時間半。1階のリクライニングシートが150TK(190円)で、800TK(1,000円)の個室もあると言う。
どこだと言うと、入口のすぐ横にあった火葬場の焼却炉みたいな所を開けると、たしかに中にベッドがあり、大きめなカプセルホテルみたいになっている。
しかしここは絶対イヤだと思ったので、他の個室はないかと聞くと、2階にも500TK(640円)のがあるという。見てから決めたいと言ったが、それは無理だと言う。どうしても見たいと違うスタッフにも食いついたが、なぜか本当に見せられないみたいで、あきらめてリクライニングシートにした。ここでも充分そうだ。
どんどん人が乗って来て、船の際のベンチに座る人、床にゴザを敷いて座る人がいる。2階も同じような感じで、たくさんの人が乗り込んできた。船の後ろには、お茶やお菓子を売る売店、その後ろには小さい食堂もある。
売店でお茶とブラウニーみたいな物を買って、食べようとしていると船が出発した。そしてブラウニーみたいな物は、スパイスのきいたコロッケだった。
船のエンジンの音がすごくうるさい。
両岸にはダッカの町並みが見え、しばらく進むと造船所や、煉瓦工場、砕石場など、色々な物が見えてきた。しかしリクライニングシートからだと、立たなければよく見えない。自由席でも良かったかなと思った。
船首に腰掛けている人達が気持良さそうで羨ましく見えたが、ここで3時間以上もキツイものだろうか。
私のとなりの席には、右手の親指から小さい指がもう1本飛び出して、左目の瞳孔が真っ白な青年が座った。少しシャイみたいで、ときどき携帯の翻訳アプリで翻訳したのであろう英語で、一つ一つ質問をしてくる。
途中で席をたったと思ったら、私のために小さなスナックを買ってきてくれた。チャップルに実家があって、帰省するのだとか。
船の後ろの方では、食堂のスタッフが手漕ぎのポンプで水をくみ上げて、野菜を洗っている。これはおそらく河の水をくみ上げているのだろう。
2時間くらいたつと川幅がぐんと広くなり両岸の景色も少し変わり、緑が増え、牛やヤギがいる村落みたいな物が遠目に見えてきた。ダッカの街は埃っぽい不毛の地みたいだったが、ここまで来るとたしかに豊穣の大地という感じがする。
よく席を立って、売店の近くでお茶を飲んだりタバコを吸いながら、岸と河の流れを眺め旅情に酔いしれた。これは「旅行」というよりは「旅」という感じがする。行くあてはあるのだが、情報がほぼないので何が起こるか未知である。
しかしここの人達の人柄のおかげで、まったく心細くはない。力を抜いて身を任せるだけで、彼らがうまく導いてくれる気がする。あとは自分が適応できるかどうかだ。
つづくよ
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