前回の
バングラデシュ旅行記6 船に乗って田舎へ - シンガポール漂流生活
船は午後3時くらいに無事にChandpur(チャップル)に着いた。
下船が近づくと、半分くらいの人が気忙しく立ち上がって、船首のほうに詰めよった。隣りの席の青年も、嬉しそうに席を立ち、船首に寄って行った。
下船して橋を渡ると、だいたい想像していたとおり、CNGと電動リクシャーがたくさん声をかけてくる。サイクルリクシャーはあまりいない。
どうしようかと思いながら、とりあえず歩いて港を出ようとした。すると前からちょうどよくサイクルリキシャーが来たので、タージマハルホテルというと通じた。みんな知っているみたいだ。と言ってもこの町には数えるほどしかホテルはないのではないか。
電動リクシャーがたくさん追い越していくが、車体に中国語が書いてあったので、中国製だと思う。
港から町の中心部までの風景は、なんとなくバリ(インドネシア)のレンボンガン島を思い出した。町というより村や集落という感じ。
池がたくさんあり、みんな池で泳いだり体を洗ったりしている。
町の中心部らしいロータリーに来たが、ここはリクシャーやCNGの数がさらに増えて、こんな小さい町なのに渋滞している。CNGやリキシャーの数が多すぎやしないか。
やっとタージマハルホテルに着いたらしく降ろされたが、ここがそうなの?と思うほどに古くて、ボロそう。中に入ってみてもやはり廃墟みたいな雰囲気で、誰もいない。レセプションも真っ暗で無人。
しばらくしてホテルのオーナーらしきオジさんが来て、でかい声でめちゃくちゃな英語とベンガル語で質問してくる。話しているときも他の客がきて、苦情なのか世間話なのかわからないが、みんな大声で賑やかだ。
部屋を見せてもらうと、これまたボロい。これのどこがタージマハルなのか、なぜここをすすめられたのかよくわからないが、せっかくだし、1泊600TK(770円)と安いので、泊まってみることにした。
明日バスでチッタゴンに行きたいと言うと、行き方を色々教えてくれた。
12時半にバスターミナルからチッタゴン行きのバスがある。
電車よりはバスがいい。絶対いい。
ここまではなんとなくわかったが、チッタゴンまでバスで何時間かかるのかという質問を何回しても、「12時半」だとしか答えてくれない。それは出発時間でしょ。
ガイドブックに載ってる簡易ベンガル語辞書を調べても「何時間かかる」という言葉が見つけられない。バスターミナルで聞けばいいかとあきらめた。
そもそも何時間かかるのかなんて交通情況次第なんだから、意味のない事なのかもしれない。
ホテルの横には河があり、部屋の前には大きな橋がある。交通量が多そうだ。
今晩もきっとうるさいだろう。
おなかが減ったのでレストランを探しに町の中心部まで歩いた。
みんなこっちを見てくるが、なかなか笑顔を見せてくれる人がおらず、少し緊張したが、ココナッツ売りのおじさんが笑顔で挨拶してくれ、急に肩の力が抜けた。そのあとは色んな人が笑いかけてくれた。
笑顔をもらう事で、自分が認められたと安心するんだと思う。認められた事で、自分の存在を確かめられるんだろう。日本で誰からも認められずに苦しんでる人がいたら、ここに来ればいいと思う。
しばらくして良さげな店があり、入って何があるか聞くと、ビリヤニと聞こえたので、それを頼んだ。個室等もあるカワイイ店だ。
ビリヤニはずっと食べたかったのに、まだ食べていなかった。
マレーシアのビリヤニはターメリックで黄色だが、こちらのは白かった。そしてすごく美味しかった。キュウリのサラダがついてくるのもいいし、ライムを搾ってもなかなかいけた。
しかしけっこうな量だったので、完食するのにかなり時間がかかった。
コップが4つも出て来たのは、手を洗ったりする用だと思う。
腹一杯でさらに町を歩く。池が本当にたくさんあり、町の真中を線路が通っていて、みんなその上を歩いている。
一服入れたかったので、チャドカンでお茶を飲んだ。
ガイドブックのベンガル語の辞書を使って、オジさん達と話していると、またたくさん人が集まってきた。みんな非常にきさくだ。あるオジさんはベンガル語の辞書を黙々と読んで一人で発音している。
また道なりに池沿いを歩いて行ったが、きりがなさそうだったので、電動リキシャーをひろって、港近くの公園に向かった。電動はあいかわらず苦労感がゼロだ。
公園に近づくにつれ、細い道にだんだんリキシャーが増えてきて、最後は渋滞でストップし、降りて少し歩いた。
公園には何かのお祭りかと思うほどたくさんの人が集まっていた。
魚の像があって、あとから知ったがここチャップルは、このなんたらかんたらという魚の漁獲量が国内一なんだとか。
公園の反対側には線路がある。ここが始発駅のようだ。
ガチョウみたいのがいて、ふざけて追っかけていたら足をかまれた。
ムスリムの正装をした子ども達に話しかけられたが、言葉が全く通じずにとまどっていると、一人の青年が奇妙な英語で話しかけてきて、通訳みたいな事を始めた。
彼は学校の先生かなにかで、彼の生徒達も一緒にいる。彼は公園を案内すると言ってきかないので、しょうがなくついて行った。
彼が話すことがぜんぜん分からないが、たぶん英語じゃなくてベンガル語を話していると思う。私を中心にグループができていて、財前教授の総回診みたいになっている。周りのみんなの視線が痛い。
こうなると他の人が声をかけてくれなくなるので、非常にイヤだ。
もうそろそろ一人で歩く、歩きたいのだと告げたが、彼はまっったくわかってくれない。ホストのつもりなのだろう。本当に弱った。
日はもう暮れている。子どもたちも、彼の生徒もどこかへ行ってしまって二人きりだ。これ以上いてもどうにもならないと思い、帰ることにした。
乗り合いのリクシャーに乗った。他にも親子がのっている。走り始めて3分くらいで、あそこが俺の家なんだと言って、彼はリクシャーを降りてあっけなく去って行った。最後までホストをやりきったというスッキリした顔をしていた。ちくしょうめ。
私は駅まで行って降りた。5TKだった。
乗り合いした親子がタージホテルはあっちだからなと、まったく正反対の方向を指差して、私に念を押していた。夜中で暗いから間違ったのか、もう一つタージマハルホテルというのがあるのか。どちらも捨てきれない。
ホテルに戻る前に少し近くを散歩した。時間はまだ6時だが、もう真っ暗だ。
古着を売ってる店があり、長袖のシャツでも買いたいなと思ったが、女子供の服っぽい。笑顔ですすめられたら買ってしまいそうなので、近づかずにおいた。
ホテルに戻り部屋で、シャツを洗ったり、日記を書いたりした。
バスルームが汚い。積年の垢がたまっている。掃除は部屋のシーツを変えてサッと床を掃くぐらいだとみた。
イスを廊下に出し橋を眺めたが、何時になっても人通りが絶えることはない。本当に1年に1度のお祭りなんではないかと思うほどの人が外に溢れている。町の規模と人の数が不釣り合い。
部屋の上部に通気口があって穴があいているので、電気をつけると虫が部屋に入ってきてライトに集まる。蚊もいるみたいなので、ブランケットをかぶったが、寝苦しいので、ファンをまわして寝た。
夜中に一度起きると、手の平がすごく痒かった。ベッドの中に変な虫がいるのかなと思ったが、めんどくさいので寝た。
つづくさ
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