その1
なんとかバラナシ市内に着いた私は、予め予約しておいたベニヤパーク近くの、HOG Hostelというところにチェックインしました。
予約サイトで見た写真は割とキレイな感じだったんですが、廃墟ビルみたいな建物の中にあり、受付がある4階まで昇ると、共有スペースと思われる広いホールに、テクノ音楽が鳴り響き、酔っぱらっている欧米人の若者たちと、ボブマーリーみたいなドレッドヘアのインド人の若者が、DJブースみたいな所で踊っていました。
私は近づかないようにしましたが、どうやらそのボブマーリーがスタッフで、DJブースが受付らしく、そこでパスポートを見せてチェックインしました。
部屋は6人部屋のドミトリーでしたが、これも割と料金高めだったので、キレイで静かな所をかってに期待していたのですが、暗くて狭くて、トイレも汚い、エアコンが強過ぎて寒い、ベッドも小さくて埃っぽいと、なかなか豪快に期待を裏切ってくれました。
下の写真は、 予約サイトから拝借しましたが、おそらくオープン当時の写真だと思われます。今となっては、ここに盗賊が押し入り、強奪し、破壊し、そのまま放置されて二週間、みたいな状態でした。
やっと一息つき、ボブマーリーなスタッフの所にタバコをせびりに行ったのですが、そのついでに少し彼と話してみました。彼は元々デリー出身ですが、一ヶ月前に友人のつてでこのバラナシへやって来て、ここのスタッフとして働き始めたそうです。
ここはどんな街だ?と私が聞くと、こんなに小さい町なのにものすごい数の人がいる。クレイジーな街だ。と言っていました。
続けてこの街が好きか?と聞くと、正直あまり好きじゃないが、ここでハイになっているときはものすごく楽しい!と言っていました。
そんなわけで、やっと初日が終わりました。
さっそく牛のウンコを
朝6時頃、二段ベッドの下段で目が覚めました。エアコンが強過ぎて寒いし喉も痛いです。もう二度寝もできそうにないので、とりあえず起きて屋上へ行ってみると、空はもう明るく、あちこちから車のクラクションの音が聞こえてきました。
腹も減ったし、朝飯ついでに散歩でもしようかと顔を洗って外に出てみました。
建物から外に出た瞬間に、ムワッと生温く、胸くそが悪くなるような、それでいて懐かしいニオイがしました。まさしくインドのニオイです。生ゴミと、動物の糞と、乳と、お香と、スパイスと、人の体臭が混ざったニオイです。これほんとに。
細い路地を抜けて大きい通りへ出ると、オートリクシャーや、サイクルリキシャー(3輪自転車タクシー)、制服を着た学生、ほうきでゴミを掃くオバさん、野良犬、野良牛などがいて、少し目眩がしました。まぎれもなくインドです。
道路にはゴミが散乱していて、3、4mおきn犬のウンコや、牛のウンコがあり、さらに昨日の夜雨が降ったので、茶色い水たまりもたくさんできており、とにかく不衛生極まりなさそうでした。
ショックで写真を全然撮らなかったんですが、ネットで見つけた写真を勝手にのせておきます。まさしく以下のような感じの光景でしたが、ここにさらに50kgくらいの生ゴミをぶちまけた感じです。
1kmくらいブラブラ歩きましたが、路上は車が多く疲れるので、例のベニヤパークという公園に行ってみました。普通の公園を想像していたのですが、公園というよりは放置された空き地? というか内戦でもあったんですかというくらい、荒れた感じの所でした。私はけっこう廃墟マニア的なところがあるので、こういう所は好物です。
しかしやはり公園というだけあって、散歩をしたりしている年配の人が数人いました。あと野糞をしているオジさんもいました。。。
公園の概念も破壊され、またフラフラと街を彷徨っていると強烈なニオイがしてきます。見るとゴミ収集場のような場所があり、掃除人の人達が台車でゴミを運んでいました。
自分自身に、お前はこの仕事ができるかと問うてみたところ、まぁ子供の頃からやってたら平気なんじゃない、という答えが返ってきました。
道を歩いていると、パンのような物をその場で揚げて売っている屋台みたいなものがいくつかありましたが、過去のインド旅行で何回もおなかを壊している私は、今回はそういう物には手を出しませんでした。
腹は減っていましたが、食べ物はあきらめて、散歩に専念することにし、また狭い路地へ入って行きました。
路地には彷徨い牛がいたるところにいました。これらの牛は基本的にはおとなしく、人が横を通るときもおとなしくしていますが、しっぽをよく振っているので、あのウンコまみれのしっぽに当たらないように気をつけなければなりません。
そして路地の中にも小さいお堂や、お寺みたいなものがたくさんありました。
東南アジアなどで見るものとはかなり異質なので、それを興味深く見ながら路地を歩いていきました。どうやらオレンジ色が、ヒンドゥー教の神々の基本色となっているようです。
そしてある中ぐらいのお堂の前に、地元の人達が数人腰掛けて談笑していました。私は彼らが陰になっていてよく見えないお堂の中を、横目で見ようとしながら歩いていました。
そして次の瞬間、足下にムニュッ!という何か柔らかい物を踏んだ感触、それと同時にその談笑していた人達がいっせいに笑い始めました。
そして自分の足下を見ると、見事に左足のサンダルで、おおきな牛の糞のど真ん中を踏んづけていました。私もとりあえずみんなと一緒に笑っておいて、すぐ横に生えていた草にサンダルをこすりつけて糞をとりました。
糞がきちんととれたかどうかはわかりませんが、自分の中で汚なさに対する何かが、少しふっきれたようになりました。汚れたら、洗えばいいじゃないか、クソを恐れてはどこへも行けんぞ!と。
けっきょく2時間ちかく歩き、何一つ食べられませんでしたが、気持ち的にはいっぱいいっぱいという感じだったので、ホステルに戻ってもう一眠りしました。
ガンジス河沿いのBABAゲストハウスに移る
午前10時過ぎにHOG Hostelをチェックアウトして、宿を移すために歩いてガンジス河の方へ向かいました。朝はほとんど閉まっていた店も、半分くらいは開いていました。
お腹が最高に減っていたので、大きな物置のような店で、南インド料理のドーサという食べ物を食べました。米を醗酵させた生地を鉄板でパリパリに焼いたクレープのような食べ物です。シンガポールやマレーシアでも食べられます。
有名なゴドウリヤ交差点というのがあるんですが、そこに近づけば近づくほど、人も車も増え、常にクラクションの音が鳴り響いています。下の写真は朝なのでまだ人が少ないですが、昼になると人と車に埋め尽くされ道路は見えなくなります。
そしてここからは、迷路のような細い路地に入って行きました。
Google Mapを見ながら進んだんですが、なぜか何回も行き止まりにぶつかり、脳内で「世にも奇妙な物語」のテーマソングが流れ始めましたが、なんとか20分くらいかけて、目的地のBABAゲストハウスに着きました。
ここは10年前に来たときは韓国人旅行者で溢れ返っていて、部屋は満室だったので泊まれなかったのですが、今回は雨期のローシーズンということで、部屋はまだ空きがたくさんありました。
私は一番安い500Rp(740円)のファン付きのシングルルーム(共用トイレ)に泊まることにしました。結局ここに計6泊することになりました。
ここはまず館内が清潔で、そして日本の本がたくさん置いてあり、Wifiがちゃんと繋がり、あとは屋上にAdha-Adha Cafeという素敵なカフェがあるのです。これで500Rpなら十分価値があると判断しました。
なかなか人気があるカフェで、お昼どきは外国人でいつも満席でした。
メニューも割とシャレてて、値段も非常にリーズナブルで、食べ物、飲み物含めて、高くても500円でおさまります。食べ物はインド料理やデザートは美味しかったですが、トマトソースパスタは、不味すぎて吐きそうになりました。インドでは二度とイタリア料理は注文しないと誓いました。
写真は左から、レモンパイ、パラク・パニール(ほうれん草とカッテージチーズのカレー)、トマトソースパスタ・チーズのせです。
(10Rp = 15円)
今回の旅行は10日間もあったにもかかわらず、ほぼここを拠点に近辺を軽く探索するというソフトなものでした。あまり刺激的ではないかもしれませんが、最後までおつき合いください。
その3へ続く
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