シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

天然納豆の作り方

こんにちは、醗酵食大好きヤンピンさんです。

 

みなさん納豆はお好きですか?

私は納豆が大好きで、日本に住んでいたときは毎日のようにスーパーで買って、白米と一緒に食べていました。

しかしシンガポールでは、大きな日系のスーパーまで行かないと売ってませんし、しかもお値段は日本からの輸入品のため5割増しくらい。そんな理由であまり食べなくなってしまいました。

せっかく日本人として生まれたのに、納豆を全然食べないなんてもったいないですよね。 だって納豆は日本のソウルフード、日本人だけに神が与えてくれた賜物だと、思うとりゃせんか貴様?

でもね、実は日本以外の色んな国にも、納豆のような大豆の醗酵食がたくさんあるんですよ。

 

たとえばタイ北部で作られているトゥアナオは、納豆と同じように大豆を醗酵させ、それを潰してペースト状にし、それをせんべいみたいに平たくして乾燥させた物で、つぶして調味料として使ったり、火であぶってそのまま食べたりするそうです。

ちなみにトゥアはタイ語でナオ腐るという意味です。

まさしく豆腐!じゃなくて納豆でしたね。

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中国の豆豉(トウチー)黒大豆を塩と麹で醗酵させた物で、炒め物や蒸し料理などに、調味料として多用されています。

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ネパールのキネマと呼ばれる納豆は、煮た大豆を、藁を燃やしてできた灰を混ぜて醗酵させたり、シダについている枯草菌で醗酵させたりと、色々なスタイルがあるのだとか。 

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私が住んでいるマレーシア、シンガポール、インドネシア圏でも、納豆と見た目はだいぶ変わりますが、同じく大豆をテンペ菌という菌で醗酵させて作ったテンペという醗酵食品があります。

わたしはこれを数週間忘れて放置してしまったことがありますが、白い繭みたいな部分が無くなって豆が黒ずみ、納豆のニオイがしていました。

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以上のように、世界各国で色々な大豆醗酵食が作られているわけですが、作り方は結局どれも同じです。

大豆を水につけて、熱を加えて柔らかくして、酵母を加えて、暖かいところで保存するだけ。

ネットで調べるとけっこうたくさん、自分で納豆を作る方法がのっていますね。「納豆、手作り」で検索するとたくさん出て来ます。

だいたい上記の作り方の「酵母を加えて」のところを「市販の納豆を何粒か混ぜて」という作り方ですね。要するに市販の納豆についている納豆菌を使って醗酵させるわけです。

これはもちろん私も試してみて、簡単に成功しました。そしてけっこう美味しいんですよね。ちゃんと糸もひいてるし。

しかしこれはまだ市販の納豆ありきで、市販の納豆がなければ作れない

じゃあそもそも、納豆って元はどうやって作られていたかというと、の中に煮豆を入れて醗酵させたんですね。これは知っている人もけっこういると思います。

しかしそのおかげでみなさんは、納豆は藁からじゃないと作れない!という先入観を持ってしまいました。しかし実は藁じゃなくても納豆は作れるんです。厳格に言うと納豆じゃないかもしれないけど、納豆のような醗酵食です。

 

これから、私流の、その怪しい納豆のような物の作り方を説明します。

では、はりきっていきましょう。

 

まずは先ほど説明したとおりに、大豆を一晩水にひたしておきます。

大豆は水を吸い、まんまるの形から、やや大きく細長くなります。

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これを蒸し器で柔らかくなるまで蒸します。よく親指と小指で挟んで潰せるくらいの柔らかさ、なんて事を聞きますが、私はいつも噛み砕いてみて決めます。

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大豆を蒸している間に庭先に出て、向かう先にはバナナの木

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そうです。の代わりに私はいつもバナナの葉っぱを使うのです。

バナナの葉っぱに納豆菌が!?・・・いるのかどうか私は科学者じゃないのでわからないんですが、結果からいうとできるんです、藁じゃなくてバナナの葉っぱでも。

というわけで、なんとなく一番新鮮そうな葉っぱを少し切ってみます。

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一番キレイそうだったんですけど、ここで思わぬハプニングが。

裏を見たらなんか変な虫がびっしりついてて、軽く巣も張ってました!マジで気持ち悪い!

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思わずぶん投げようと思ったんですが、ここで私の心の中の狼が叫びます。

虫だって自然の一部ジャマイカ!いつも偉そうな事を言って、結局おまえは自然を敬っていないのだな!と叱咤されたので、仕方なくこの葉っぱを使うことにしました。

しかしまずは入念に水で洗って、それから葉っぱを15cm四方くらいに切って、これを沸騰したお湯で数秒ゆでて熱湯消毒します。

これで一見「菌」が死んでしまうように思えますが、100度くらいのお湯では菌は死なないのです。

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やっと大豆が柔らかくなったので、プラスチックの完全密封ではない容器に、さきほど消毒をしたバナナの葉っぱを敷いて、大豆を包みます。

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さぁこれで準備は完了です!あとはこれを温かい所で2、3日保存できれば、納豆のような物の完成です。

 

マレーシアは南国で、日中はいつも30度前後はあるので、昼間はとりあえず外に置いておきます。そして夜になるとやや気温が下がって、醗酵もしにくくなるので、そんなときは保温バッグの中に、お湯入りボトルと一緒に納豆を入れてあげます。これで夜も安心です。

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そして二日後、蓋を開けてみると、あの納豆のニオイがぷんぷんして、豆の表面も白い粘菌のようなものに覆われています。いい感じです。でも葉っぱがなんか黒ずんでて気持悪いので捨ててしまいます。

もうちょっと醗酵させたほうが良さそうなので、もう1日置いておくことにしました。

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そして次の日、さらにニオイが強くなっていて、色も少し黒ずんできたので、これにて完成とします。お疲れさまでした。これを瓶に移し替えて冷蔵庫に入れれば、温度が低いので醗酵もほぼストップします。

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肝心のお味のほうですが、まぁ市販の納豆の方が全然美味しいですね(笑)

まずこのバナナ納豆は粘りがあまりないのです。 私もあのネバネバが大好きなので、こちらの納豆だと非常に物足りないんですが、それと同時に、あの市販の納豆の異常な粘りは果たして天然の物なんだろうかと、ちょっと気になり出しています。

食べ物はここ百年ほどで異常な進化を遂げました。納豆はネバネバ、パンはふかふか

コンビニ弁当はほっかほかで、オカマの胸はボインボインです。

人を魅了するのがいけないとは思いませんが、やりすぎな物はあとからのシワ寄せがちょっと怖いです。そういう時は一度原点を見つめおすのもいいかもしれません。

 

あとは日本の一般的な基準から言えば、けっして衛生的ではないので、強くすすめる事はできないです。私は今のところ身体に異常はきたしていませんが、いつなんどき悪バナナ菌が発症して、顔が真っ黄色になってしまうかわからないです。

ですので醗酵遊びは自己責任でほどほどに。

 

以上、天然納豆(のような物)の作り方でした!