シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

PONTIAN 日帰りツアーに行ってきた 後編

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PONTIAN 日帰りツアーに行ってきた 前編 - シンガポール漂流生活

 

たくさん食べ過ぎて眠くなったんですが、ツアーはまだまだ続きます。有無を言わさず車に乗せられ、次の目的地へゴー!! と思ったら車は10秒ほど走って止まりました。なにか忘れ物でもしたのかな?と思ったら、すでに次の場所へ到着。

車を降りると、さきほどと同じようなコーヒーショップです。そして店先にはパンが売ってあります。パンはさっき食べたでしょうが!😡と心の中でプンプン怒っていると、何やらみんな店の奥へと入って行きます。

 

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するとそこには巨大な年期の入った機械が一台。話を聞くと、どうやらこの機械はパンを焼く機械で、1981年から今でもまだ使われているそうです。

この店の家族は海南(ハイナン)系の華僑で、彼らがこの町PONTIANにやってきたとき、ほとんどの仕事が他の華僑グループ(福建系広東系)に牛耳られていたため、当時マレーシアを植民地化していたイギリス人の家で、彼らはシェフとして働き始め、そこで覚えたパン作りを、今でも生業として続けているんだとか。

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大きい箱の中は観覧車のようになっており、グルグル回りながら焼くらしい

見学のあとは、パンを一斤と手作りカヤジャムを買いました。

それからまた徒歩で移動し、歩く事5分、ある乾物屋に着きました。

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ここの干し魚が美味しくて有名なんだとか(だからなんや!)

この店のオーナーは隣に金物屋も経営していて、この町に人が住み始めて間もない頃、中華系の人たちが育てているバナナが、マレー系の人たちに盗まれる事件が多発し、みんなこの金物屋に、犬の鎖を買いに来て、家で犬を買い始めたんだとか。

 

さてまた車に戻り、今度は町で一番大きい魚市場へ。

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生臭さがはんぱないです

市場はさほど大きくないですが、人がたくさんいて、魚も無造作にそこかしこに置かれていて、床は鱗かなにかでつるっつるです。

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活き活きした人間と、死んだ魚のような目をした魚のコントラストがすごいです
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エイやサメもいます

市場にはシンガポールナンバーの車がたくさん停まっており、どうやらわざわざここまで買いに来ているようです。シンガポールに比べると相当安いんでしょう。ツアーメンバーも買うかどうか迷っていましたが、この日も相当暑く、帰りまで車の中に置いておくのはヤバそうだったので、誰も買いませんでした。

 

市場を出て、近くの海岸にも行ってみました。潮と排水が混ざった臭いがしました。

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未だ引き潮です

 また車に乗り、今度は新しくできた方の港に移動しました。ガイドさんがなにやら話してくれていますが、私は暑さでボーッとして上の空でした😓

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新しい港はまだ船も少なく、夜はデートスポットになりそうな雰囲気です

 

時間は12時近くになっており、次はお昼ご飯です。わたしはこっそり、みんなにおなかがすいているか?と聞いて回りましたが、みんな無表情で全然すいていないと言っていました😑しかしこれはツアーですから、やはり食べざるをえません。

お昼ごはんは川沿いの隠れ家的お店へ。大皿で何品か海鮮料理が出てきました。談笑しながら時間をかけて、なんとか全部食べきりました。

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蒸した小イカにニンニクが効いてるやつと、定番中華料理のビーフンです

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隣のテーブルでは麻雀が始まりました

お昼ごはんも食べ終わり、次の観光へ行く予定でしたが、みんなお腹がいっぱいなのと、暑さで疲れがマックスということで、急遽予定を変更して、ガイドさんのお友達のアーティストのスタジオに行って、まったりしようということになりました。
彼らは本業はデザイナーで、このスタジオでは主にワークショップなどをしているんだとか。

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とても素敵な空間で、久しぶりに他人を心から羨みました

一時間ほど、各自思い思いにダベッたり、昼寝をしたりしてまたツアー開始です!

 

午後一発目は車で町の郊外へ走る事10分、いかにも田舎というところの一本道に車を停めて、民家のようなところへ入って行きます。そこで目に飛び込んできたものがこちら。

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細長く割られた無数の竹が、外で天日干しされています

細長く割られたです!そしてあるオンボロのほっ立て小屋の中に入って行くと、またしても

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この太ったお兄さんの汗だくの広い背中を竹でぶっ叩きたいという衝動

この竹でとくに何を作るでもなく、ただサイズに切り分けて並べる作業をしています。ここでやっと、この竹を何に使うのかという説明がありましたが、これは次の次に向かう場所に答えがあるので、またのちほど。

 

次はまた車で2分ほど走った民家のような所。今度はわかりやすく、おばあさんが魚を天日干ししていました。内蔵を取って塩水に漬けた魚を、ここで3日干すそうです。

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おばあさんの紫のドレスと、魚の赤身がすごくマッチしています

ガイドさんの説明によると、この町にはこの仕事をしている所が2つしかなく、このおばあさんの方が内蔵をしっかりキレイに取って良い仕事をしている、とのこと。そう言われてしまうと逆に、内蔵をしっかり取っていない方の魚も見たくなるのは、私だけでしょうか。

 

そしてそこからまた車で3分。(ぶっちゃけ自転車でもまわれますこのツアー)
ついにあの竹の使い道があきらかに!ある倉庫に到着しましたが、倉庫には「萬和紙料製造貿易」と書かれています。そして中ではあの竹を使って、なにかの枠組みのような物が作られていました。

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倉庫の雰囲気は世界共通

そしてその竹の枠組みに、ほかの作業員がペタペタとのりで紙を貼付けていき、こんな物を作ります。

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紙と竹で作られた、使用人と馬

このような物をいったい何に使うのかと言いますと、実は中華系の人たちが葬式や祭事のときなんかに燃やす「お供え物」なんです。日本人にはなじみが薄いですが、中国には「道教」という土着の宗教があり、これが「儒教」「仏教」と混ざり合って、独特な習慣ができあがりました。その一つに、お供え物を燃やして天に送るというのがあります。例えば天に召されたご先祖様が、あの世で苦労しないように、(紙でできた)お金を燃やして、ご先祖様に送ってあげるということです。

そしてお金の他にも様々な物を送ります。例えば写真にもある「使用人」や「豪邸」「高級車」、最近では「スマホ」「i-pad」などもあります。全部紙と竹で作られたものです。燃やしますから。*1

要は日本人のお墓参りのようなもので、とにかく彼らにとっては重要な催事だということです。これはとても奥が深いので、またいつか改めて紹介できればと思います。

ちなみにこの枠組みの接続部分も、小麦粉を水でといたものと、半紙のような紙でグルグル巻くだけで、なかなかエコだと思われます。

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燃やし切れないものは使わないというこだわりが見えます

 

ツアーはいよいよ終わりに近づいています。また車に乗り次はパイナップルファームへ。見渡す限りパイナップルです。パイナップルの葉はギザギザで、上から掴もうとするとトゲが刺さるそうです。こんな畑にスカイダイビングの人が着地してしまったらと思うと不憫でなりません。

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パイナップルはこうやって生えるんですね

ここで作っているパイナップル100%のジュースもいただきました。大きめのパイナップル一個から、ジュース一瓶分しぼれるそうです。このファームでは他にも養蜂をしていて、その説明もしてもらいました。

ガイドさんは、ガイドツアーがないときは、このパイナップルファームで働いているんだとか。なるほどそういうことかと、やっと腑に落ちました。

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沈殿しているので、飲む前にはよく振らなければいけません

 

そして少し離れた所にある、もう一つのパイナップルファームも見学させてもらって。今日のツアーは終了ですお疲れさまでした早く帰って寝たい!

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真面目に説明を聞くメンバーと、写真を撮るのに夢中な私

PONTIANは有名な観光地なんかではありませんが、ローカル色が強いマニアックなツアーはなかなか面白かったです。そしてこの町を盛り上げようとするガイドさんの熱い想いも伝わりました。

ツアーの料金ですが、朝ご飯昼ご飯代は別で、一人100RM *2 でした。ガイドさんは日本語での説明は無理だと思いますが、英語は話せるので、もし興味がある人はぜひ。

PONTIANガイドツアーのFacebookページはコチラ

https://www.facebook.com/xyzpontiantour/

 

ツアーが終わって帰る頃はもう夕暮れ時で、帰りは広大なパイナップル畑の向こうにキレイな夕日が見えました。

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以上、PONTIAN 日帰りツアーのレポートでした!

 

*1:「馬」についてはよくわかりませんが、きっと重要な物なんだと思います。

*2:2700円くらい