シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

受けたご恩の行方

先日、夜にMRTに乗って家に帰る途中、なぜかとても疲れていたんですが、ポンゴルに向かう電車は席が空いておらず、しょうがないかと吊り革につかまって顔を下げ、目を閉じていました。

目の前の席には中国系のお母さんと娘さんらしき親子が座っていました。

一般的なチャイニーズアンティーではなく、黒髪ショートで割と清潔感のあるおばさんでした。

 

 

ある駅に止まってなんとなく目を開けたら、そのおばさんが私のほうを見ています。なに見とんじゃオバハンと思ったんですが、よく見るとジェスチャーで私になにか伝えようとしています。

なにやら目と顎をしゃくって、私の後ろのほうを指しています。

何かなと思って振り返ったら、ちょうど誰かが下りたらしく、席が一つ空いているのです。

私は咄嗟のことに、オバさんに頭を一つ下げて、おそらく聞こえないようなか細い声でサンキューと言って、すぐにその席に腰掛け、ちょっと気恥ずかしかったので、わざとまたすぐに目をつぶって、引き続き疲れているようなフリをして後ろの壁に頭をつけて眠ったフリをしました。

 

でも心の中では、今おばさんがしてくれた事を改めて思い出し、ちょっと感動していました。でもやっぱりなぜか恥ずかしくて目が開けられませんでした。

 

それから3駅くらい過ぎてから、少し目を開けてみたら、その親子はまだ私の前に座っていましたが、もちろん私のほうなどは見ずに普通に二人で話しており、その次の駅で普通に電車を下りて行ってしまいました。

 

こんな事がサラ―っと自然にできるなんて、かっこいーなーと思いました。

わたしはまだできないと思うな。たぶん今日も明日も。

 

以上

 

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