シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

田舎者の宿命

前回、レシピ本を大量にもらったと書きましたが、毎日それらを読みふけっています。 

レシピを読みながら、まるで自分が作っているような気になり、味まで想像し、唾液が溢れ出し、気づいたらおなかペコペコ、血液サラサラ、そんな毎日です。

 

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レシピ本を読んでいるだけで楽しいという人はけっこういるんでしょうか。

わたしは気づいたら、うまそーー!!とか、割と大きな声を出しながら読んでしまい、動悸も少し乱れていたりします。

 

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旅行の計画をしているときが一番楽しいという人はけっこういますね。

私も行ったことがない所の、ガイドブックを読むのがけっこう好きです。

ホテルの値段なども日本円に換算して、高いだの安いだの一人でぶつぶつ言ったり、Google ストリートビューで実際の場所をチェックしたりしています。

 

成人雑誌などで女性の裸を見ながら、自分がそれをしているような行為を想像し興奮するのも、もしかしたら同じ系統の活動になるのでしょうか。

 

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レシピ本ばかりでなく、料理人の自伝みたいな本も少しあって、それがまたその人のレシピ本と合わせて読むとすごく面白いのです。

ある本には、東京の広尾にある「分とく山」という日本料理店の総料理長である野崎洋光という方の、下積み時代について書かれていました。

 

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野崎さんがまだ20代で、自分のお店を始めたばかりの頃に、店に色々なお客さんが来てくれたらしいのですが、その中にかなり人生経験が豊富な年上の方達がたくさんいて、まだ若かった野崎さんに色々なアドバイスをくれたそうです。

そのアドバイスの中で3つほど、私が心に残った言葉があります。

 

まず一つ目は

 

金を追いかけるから金は逃げるんだ。

仕事を追っかけてごらん。

そうすればお金はあとからついてくるもんだよ。

 

うまい事言うなぁと思いましたが、そこまで普遍的でもないかなぁとも感じました。

金が欲しいならとことん金を追っかけてみろ。みたいな言葉もときには通用するような気がします。

 

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二つ目は

 

四十まで人の話を聞く耳を持った方がいい。きみは料理を作る事はできるが、食べることにかけてはお客さんのほうが上だろうという事もある。

 

たしかにこれは言い得て妙です。シェフがその料理の事を一番よく知ってると、何の疑いもなしに思っていましたが、シェフは毎日自分の厨房に引き蘢って、料理をひたすら作る毎日ですが、グルメなお客さんなどは毎日色々な所へ食べに行って、色んな美味しい物をたくさん食べてるわけですから、舌はもっと肥えているかもしれませんね。

 

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最後の三つ目、これがだんとつでグッときました。

 

田舎ものなんだから地味に生きろ。

 

わーーお

 

一見して差別や罵りにも聞こえるかもしれませんが、私はこれを自分のモットーにしたいと思うくらいに良い言葉だなと思いました。

このお客さんは、別に福島県出身でイエティっぽい顔立ちの野崎さんをバカにして言ったわけではないと思います。この言葉の前後に、偉そうにするなよ。わざわざ食べにきてくれるお客さんに感謝を忘れるな、とも言っています。

 

要は謙虚であれ、ホリエモンの二の舞にはなるな、というような意味だと思いますが、北海道の寒村出身の私にはそれよりも意味深げに聞こえました。

 

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私は若い頃、自分が田舎出身だということに、ほんのちょっとですがコンプレックスを持っていたような気がします。そして北海道にいたときは札幌で生まれ育った友だちに何か特別な物を感じ、東京に移り住んでからは、東京出身や、その周りの神奈川、千葉、さいたま県出身でさえ、自分とは何か違うものを感じていました。

 

それが人間の優越には全く関係ない事だとは頭では理解していたのですが、そうとわかってはいても、いつもモヤモヤしたものが心の奥、正確には右心室の側面あたりにありました。

しかしこの 田舎ものなんだから地味に生きろ という言葉を聞いて、ああそうか!(創価学会員ではありません)と思いました。

 

そうか!俺は田舎もんとして生まれたんだから、やっぱり地味に生きていいんだな!自分に思わぬ才能や、成り上がるチャンスを見つけたとしても、それを見過ごして目立たぬ日陰の地味な存在に甘んじて生きても許されるのだな、むしろそれでいいのだな!と。

もしかしたら、誰かに期待されたり、やってみなきゃ損だよなどいう励ましを、プレッシャーに変えてしまっていた自分に、疲れたのかもしれません。

 

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東京生まれ東京育ちで、親戚に著名人がたくさんいて、やる事なす事うまくいって成功者と呼ばれ、毎晩愉快で個性的な友人達と飲んで騒いでいる人がもしいるんなら、それはその人の宿命、自然の摂理なのだと思います。

東京にいたときには彼らのマネをして思いっきり背伸びしていましたが、今振り返ってみると滑稽でしかなかったと思います。しかしそのひたむきな滑稽さが、もしかしたら田舎者のイカしている所なのかもしれませんが。

 

もちろんこれは私個人の考え方で、他の地方出身者の生き方を規制するものではありません。佐賀県出身者が兄弟でお笑い芸人になったっていいのです。

 

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しかし人にはすでに決められた生き方、宿命があり、それを受け入れて生きる事こそが、その人の一番良い人生の歩み方なのではないでしょうか。

 

 

などとシンガポールへ流れ着いたルンペンプロレタリアートがほざいておりますがいかがいたしましょう

 

 

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