シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

ついにブチキレた話 ~おらこんな家いやだ~

(この記事には年上の方に対する罵詈雑言などの表現が含まれています)

 

先日久しぶりにブチキレてしまいました。

ブチキレると書くと、何かに立腹して怒ったんだなと思われますが、まぁその通りなんですが、本当に自分をコントロールできなくなるまで感情が高まり、思いっきり声を荒げて叫んでしまいました。

 

壮絶でしょ

 

本当に良い年こいてこんなになるなんて、ドラマチックなおっさんだなぁと、我ながらあきれますが、まぁ一生懸命生きているとこういう事はつきものです。

むしろ、だからこそ私の人生は順調だと言いたい。

 

何があったのか説明したいと思います。

私は中華系シンガポール人の奥さんと、その両親といっしょに住んでおるんですが、この義理父がけっこうクセ者で、私とソリが合わないのです。

 

まぁ私だけじゃなく、家族からもあまり好かれてはいない、すこぶる評判が悪い男です。控えめに言うと、わがままで、ギャンブル好きで、図体と声が大きい、高慢で、小心者なおっさんです。

 

そしてここ最近、このおっさんの私に対する態度が割と失礼で(私がそう思うだけ)、できるだけ気にしないようにしていましたが、やはり心の奥底では相当腹が立っていました。

それでも義理父ですから、何も言わずに生活を続けてきたのです。

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こう書くと、じゃあこのおっさんにブチキレて怒鳴ったのだなと思われますが、ちょっと違うのです。 

 

ある日、私が台所で料理の片付けをしていたときに、私の洗い方にちょっと不備があり、奥さんが私に それはこうしなきゃダメだよ みたいな事を言ってきました。

私はいつもどおり聞き流そうと思ったのですが、ふと口をついて出たのは

 

おまえは自分の両親にはそういう事は言わないよな・・・でした。

 

それに対し奥さんも、また軽く言い返してきたのですが、私はここからはもう自分の感情をコントロールできなくなってしまいました。

 

俺は今までお前に両親の不満を言ったことはないぞ・・・

なんで俺がしたときだけそう小言を言ってくるんだ・・・

俺がどんだけお前の両親に不満を持ってるかわかるか!

俺がどんだけ自分の感情を抑えて生活してるかおまえわかってんのか!!!!!

 

今思い返しても、このときの私の言動、態度は鬼気迫るものがあったと思います。

 

その声を聞きつけて両親も台所へやってきたのですが、私はまだ感情が収まらず、Fuck! だかなんだか、誰に言うでもなく一人で言い続けていました。

おっさんは私を見ないようにしていましたが、私はおっさんをにらみつけて、今にも襲いかかりそうな勢いでしたので、おっさんはそそくさと出て行きました。自分に殺意が向いているのを感じたのでしょう。

 

このあとは、おっさんは部屋にこもり、奥さんは涙目でリビングにて義理母と話していました。

私はなんとか自分を落ち着けようとし、巻きタバコを作って家から出て一服し、まぁなんとか一息ついて我に返りました。

 

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そのあと部屋に戻ったのですが、奥さんもしばらくして部屋に戻ってき ごめんなさいね と言ってきたので、私も こちらこそごめんと とりあえず和解しました。

 

私は奥さんに敵意があるわけではなく、彼女もそれはわかっていたと思いますから、そんなぎくしゃくした雰囲気ではなかったと思います。

 

要は、おっさんは家の王様ですから、何をやったって、誰も何も注意しないわけです。

おっさんは昔そうとう怖い父親で、家族みんなトラウマのようなものがあり、誰一人逆らおうとはしません。

しかし私にとっては、ただの甘やかされたうるさいチワワみたいなものなのです。何度もこのチワワを蹴飛ばそうと思ったことがあります。

しかし仮にも自分の嫁を育ててくれた父親ですから(その子供たちはあいつに育ててもらった覚えはないと言っていますが)それを堪えて今まで生活してきましたが、最近あまりにこの状況が不条理だと感じ、感情が爆発してしまったというわけです。

 

 

このあと、奥さんと落ち着いて話したのですが、私は奥さんに 俺がどんな不満を持ってるか、ちょっと予想して具体的に言ってみてくれる? と聞くと奥さんが 習慣や考え方が、私の家族とあなたでは違うから、そのせいで両親との間に軋轢ができたんでしょ みたいな事を言ったので、私はこう返しました。

 

いいや違うんだ、俺はね

 

お前のオヤジを殺したいんだ

 

 

歯に衣着せぬ物言いとはこの事でしょう。

ソフトクリーム食べたい くらいの感覚で言ってしまいました。

 

奥さんもさすがに一瞬ギョッとした顔をしましたが、まぁこれくらいは予想できたようで、ハァ(ため息)やっぱりそうか、というような感じでわかってくれました。

 

奥さんが言うには、他の家族の誰もが うちのオヤジはどうしようもない男だから、このどこにも行けないコロナ期間中に、外国人のヤンピンが一つ屋根の下で一緒に住み続けるのは相当キツいだろう と予想していたようです。

 

でもね、私が今回ブチギレたのは、おっさんがむかつくからではなく、なぜ私の味方のはずの奥さんまでもが私にだけ注意をし、あのおっさんを野放しにしておくのか、フェアじゃないだろ、という鬱憤が爆発したのです。

ですから、おっさんに不満があったというより、奥さんに、そして他の家族にも、なぜ立ち上がらない民衆よ!今こそ君たち家族が力を合わせてあの独裁者を断罪するときではないか!という不満があったのですね(こんな婿は絶対にもらいたくない・・・)

 

 

しかし冷静になってみると、自分の苦しみをわかってほしい という自分がいますが、逆に、相手の悩みを知ろうとしていない自分 にも気が付きました。

不満や鬱憤を抑圧しながら生きているのは自分だけではありません。話を聞いてもらいたいなら、まずは相手の話を先に聞いてみることから始めよう。

 

ということで、ここからまずは奥さんに色々質問してみました。

なぜ奥さんや家族は、おっさんに逆らえないのか、なぜそんなにあんな男が怖いのか。

 

これにはなかなか根が深いものがありました。

聞けば聞くほど、このオヤジまじで殺したほうがいいかなと思いましたが、まぁこれはあくまで被害者側からの告白で、加害者のオヤジにもきっと言い分があるのでしょう。

 

事の真偽はひとまず判断せずに聞き手に徹し、奥さんが言いたい事、聞いてほしい事、実は今まで誰にも言えないでいた事を、1時間近くじっくりと聞いてあげました。

 

わたしはもうすっかりおっさんへの殺意は消え、そのかわりに奥さんへの哀れみ、同情のような気持ちがわいてきました。

 

10年も一緒にいて、ここまで真剣に相手の話を聞いてあげたことはなかったと思います。ほんと使えねえダメな旦那だなあと痛感しました。

 

でも10年かかりましたが、なんとかここまでたどり着けたことに感謝しなければなりませんし、それを手伝ってくれたのは、ほかでもなくあのオッサンであった事も事実です。

私の奥さんは親であるおっさんから昔不当な扱いを受けて、心に傷を負いましたが、色々話を聞くと、オッサンもオッサンの両親から愛の不足した扱いを受けて、このようになってしまった、かわいそうな子供の一人なのだと思います。

これは親から子へ、連綿と続く負の連鎖なのですね。

 

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この世界は往々にしてこのようなもの。

 

愛に満ちた美しい自然と、愛に飢えた醜い人間のコントラスト。

しかしその醜い人間の心のずっと奥には、また美しい魂があり、その魂の叫びを手がかりに、私たち人間はこの世界で自分に課された宿命を精一杯生きなければいけませんね。

 

 

色々壮絶でしたけど、今はああよかったよかったこんなひどい事が起こってとしか思いません。これにより奥さんとの関係は、以前よりも良好になり、二人で会話したり、外出したりする機会も増えました。 

膿を出すのは気持ちよいものです。まぁ私の場合はまだまだ違う膿が心のそこかしこに溜まっているので少しずつ出していかねばなりませんが。

 

あいかわらず長文になってしまいましたが、もしどなたかの参考に少しでもなれば幸いだなぁと思っています。

 

 

求めよ さらば 与えられん

Ask, and It will be given to you.

 

 

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