シンガポールには徴兵制度があります。
全てのシンガポール男子は、18歳になると2年間の軍事訓練を受けなければいけません。拒否をすると、最悪で3年間投獄されるか、5000ドル(40万円くらい)の罰金が課せられるそうです。
これは一般的に、ナショナルサービスと呼ばれています。
しかしみんながみんな軍隊に行くわけではないのです。
軍隊以外にも、警察と消防を選択することもできます。と言っても、軍隊に行く人が圧倒的に多いらしいのですが。
先日、今まさにそのナショナルサービスに通っているという、シンガポール人の若者と話すチャンスがありました。彼は1年半前に軍隊に入隊しましたが、配属されたのは機密文書を扱う部署で、事務仕事なので、さほど辛い仕事ではないそうです。
毎日家からキャンプまで通っていて、朝8時から夕方5時まで仕事しているそうです。
昼ご飯はキャンプ地に食堂があるので、そこで食べているらしいのですが、何を食べてるのか気になり、ちょっと聞いてみました。
すると何の事はない、シンガポールのフードコートと同じく、10くらいの店があるらしいので、その中から選んで食べるらしいのです。
なるほど、じゃあチキンライスや、麺類や、醸豆腐(ヨンタオフー)や、インド料理や、ナシラマがあるんだね? と私は彼に聞きました。
すると彼は
いや、ナシラマはない と言うのです。
ナシラマとは言わずと知れた、マレー料理を代表する食べ物です。
ナシラマがないなら、マレー系の人がかわいそうじゃない?
と聞くと
大丈夫、マレー系の人は軍にほとんどいないから
と言うのです。
え?? なんで??
マレー系はナショナルサービスしなくてもいいの??
私は意味がわからなかったのですが、彼の説明によると、こういうことらしいのです。
シンガポールの隣りにはマレーシアがある。
もしマレー系を軍に入れると(とくに幹部)、非常事態のときに、マレーシアと秘密裏に通じたりして、シンガポールに不利益をもたらす可能性が高い。
だからマレー系は軍隊には極力入れさせず、警察の方に行かせるようにしている。
えええ!?
そんなルールがあるんだ! と言うと、それはルールではなく、明示されてはいないが、暗黙の了解として、存在するということです。
なるほど、たしかに彼が言うように、私も警察にはマレー系が多いというイメージがあります。それはこういう理由だったんですね。
まぁルールには明示されていないという事から、これを正式に証明するのは難しいのかもしれませんが、彼のキャンプの食堂ではナシラマは売っていないというのは、一つの有力な証拠だと思います。
ちなみに私はこのナショナルサービスを拒否して、投獄された若者を、一人知っています。
彼は私の知人(シンガポール人)の息子さんなんですが、知人は宗教団体「エホバの商人」の信徒さんで、人を殺す訓練を受けるなんてもってのほかだとして、息子さんをナショナルサービスへは行かせずに、刑務所に行かせたとのことです。(警察や消防に行かせられなかったのかどうかは不明)
いい!!
こういう気骨のある人、私は嫌いじゃありません。
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