去年の年末あたりから、日本語レッスンの仕事がパタッとなくなりました。
今回の年末年明け、生徒さんみんな、どこかに旅行に行ったり国に帰ったりしてるので、ここ2週間で10時間も働いてないと思います。そして向こう2週間もやはり10時間も働かないような気がします。
奥さんも去年の11月に仕事をやめたので、夫婦そろって仕事もせずに、お互い自分のやりたい事をやって毎日過ごしています。
奥さんは四六時中本を読み、たまに一人で散歩に行ったり、モールをぶらついたりしているようです。彼女には申し訳ないですが、奥さん元気で留守がいい、なんてたまに思ってしまいます。
そして私はといえば、もっぱらお料理三昧。
去年手に入れた大量のレシピ本に影響されて、年末は色んな調理器具を買ってしまいました。
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ハンドミキサーでしょ~、電子オーブンでしょ~、圧力鍋でしょ~、あとは電子計量器に蒸篭に蒸し布、それに家の下のゴミ捨て場に誰かが捨てた、石臼まで拾ってきて使ってます。
様々な料理を作るには様々な道具が必要です。
この間地元のスーパー、Sheng Siongの精肉コーナーに豚の内臓がたくさん売ってあるのに気づき、それを見ていたら急にモツ鍋が食べたくなりました。
モツなんて生まれてこのかた買ったことないんですが、そんなに高いものではないので、挑戦してみたいなと思い、家に帰って少し調べてみました。
モツ鍋のモツは小腸が良いなんて書いてあるのを見たので、じゃあ小腸を買おうと翌日に意気込んでSheng Siongに行ったら、小腸も大腸もなく、粉腸という聞いたこともない臓物だけがありました。
なんとなく美味しそうだったので、とりあえず買ってみました。
ラベルには粉腸のとなりに、Sweet Intestinesと書いてあります。
ネットでも調べても、日本語や英語では、全然情報がありませんでした。香港人の友だち曰く、粉腸はけっこう貴重な部分で、中華系の人に人気があると言っていました。
この豚は、インドネシアのブラン豚(Bulan Pork)という豚で、シンガポール海峡をはさんだ向かいにあるブラン島というところで育てられている豚だそうです。
私は野菜でも肉でも、なるべく近い所で採れたものが好きです。どんなに安くて、どんなに質がいいと言われても、やっぱり距離を一番に考えてしまいます。なので、生鮮品はマレーシアかインドネシアのものが好きです。
ノルウェーから来たサーモンとかは、ちょっと抵抗があります。
モツはとにかく臭いがきついので、それを取り除く下処理が重要だと、ネットには書いてあったので、恐る恐るパッケージを開けてみると、ぜんぜん臭いがありません。触った感じもすごくツルツルしており、カエルの卵のような感触です。
とりあえず水で洗ってみましたが、汚れらしいものはほとんど出てこず、拍子抜けでした。
昔、池袋の居酒屋で働いていたときに、豚モツを串に刺して焼いていましたが、あのときのモツは、白くて硬くて、触ると手に白い脂肪のようなものがびっちりとこびりついたものです。
これはどうしてこうで、あれはどうしてああだったのか、未だに謎です。モツは奥が深いですね。
とりあえず5cmくらいの長さに切り、生姜とニンニクといっしょに少し茹でて、火が通った所で少しだけ味見してみましたが、やはり変な味もせず、臭いもありませんでした。端がくるっとめくれて指サックのようになりました。
お湯を捨てて軽く洗ったあと、新しく買った圧力鍋に入れて10分ほど茹でました。
そこにテキトーにミソや醤油などをややテキトーに入れ、小葱をまぶすと、みそモツ鍋の完成です。
一口食べてみると、懐かしい記憶が一気に蘇りました。
そう、これはまさしく『こてっちゃん』そのもの。
こてっちゃんは牛の腸らしいですが、豚の腸とそんなに大きな味の違いはないんじゃないでしょうか。あまりモツ食べたことないのでわからんけど。
もちろん臭みなどは全くありませんし、パッケージを開けたときすでに臭みなんてものはなかったですから。
ごはんに良く合うので、ごはんを三杯くらいおかわりして、一人で全部一気に食べてしまいました。ごはんがごはんがススムくん、のようなレベルを越え、ごはんがごはんがすすみスギタカオルでした。
ナカオー パイイツ
シンガポールのスーパーで自ら臓物を買うのは、外国人にとって少し抵抗があるかもしれませんが、もしモツが好きなら勇気をだして買ってみてはいかがでしょう。臭いは生姜、ニンニク、長ネギなどと一緒に茹でることでだいぶ取れます。
というかみんなが臭い臭い言ってるから自分もそんな気がするだけで、その臭いが実は嫌いじゃない人もかなりいると思います。肉や魚は腐る前が一番美味いという人もいるくらいです。熟成すると旨味が増すという意味だと思いますが。
内臓を食べない人が増えて来ていると誰かが言っていましたが、それは単にモツの美味しさも、効能も、調理方法もわからないからでしょう。たしかモツは肉よりも栄養価が断然高いんじゃなかったでしょうか。
ジャングルの王者ターちゃん、じゃなくて百獣の王ライオンも、獲物をしとめたらまずは内臓から食べるそうです。腹一杯になれば肉は食べずに残すこともあるのだとか。
各国の原住民族なども、獲れたての獲物はまずは内臓から食べるはずです。新鮮で柔らかくて美味しく、栄養価も高い。顔中血だらけにして内臓をむさぼる姿は、現代人には受け入れ難いのかもしれませんが。
私はこのモツ鍋をきっかけに、最近はときどきレバーなども買って食べるようになりました。
子供のときはレバーなんてクソまずいと思ってたんですが、シンガポールに来てから、気づいたらレバーが好きになっていました。味にすごく深みがあるので、お酒ともご飯ともすごく合うと思います。
レバーを使ったおすすめの料理は、ラープです。
ラープはタイ、ラオスの肉ハーブサラダです。たいてい挽肉をつかいますが、レバーもよく合います。
作り方は非常に簡単で、食べたい肉を少量のお湯で茹で、水をよく切ります。
紫タマネギ、小葱、パクチー、セロリの葉などを細かく切っておきます。
茹でた肉に、唐辛子粉と、炒った米を潰したもの、それにナンプラーとレモン汁をかけて和えます。
そこに野菜も混ぜて、最後にミントの葉を何枚かのせれば完成です。
タイ料理なのでモチ米によく合いますから、私はかならずモチ米も炊いていっしょに食べるのですが、もしかしたら普通の白飯でも麺でも、ひょっとしたらパンでも合うかもしれません。
味の好みなんてのは人それぞれ微妙に違うのですから、あまり一般常識などは気にせず、食べたいと思ったらなんでも試してみるのがいいですよね。
ずっと前にシンガポール人の友だちが、いなり寿司にワサビをつけて食べていましたし、私も水餃子を食べるときに白飯をお願いして変な目で見られたこともあります。(中国人は餃子を食べるときに白飯は食べません)
自分の感覚を信じ、我が道をいきましょう
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