シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

歯が痛いのにTCM(中医学クリニック)に行ってきた【後半】

前回までのお話

yangpingsan.hatenablog.com

 

以前からときどき行っていたTCM(Traditional Chinese Medical-中国伝統医療)のクリニックがJURONG EASTにあったのですが、ちょっと今回は新しい所を開拓してみようと思い、ネットで調べたところ、割と近所のTIONG BAHRUの近くにあったので、そこに行ってみました。

別にここをオススメしたいとかいう記事ではないので、名前などは伏せさせていただきやす。

 

TCMですから、間違いなく先生は中華系で、英語は苦手に違いないと思ったので、中国語が話せる奥さんに一緒に行ってもらいました。

 

クリニックはとても小さく、中国の西安出身だというおばさん先生が一人でやっていました。もうかれこれ20年、シンガポールでチャイニーズ・ドクターとして働いているようです。

 

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案の定英語はあんまり得意じゃないようなので、私のカタコトの中国語と、奥さんの翻訳で症状を説明してみました。

ちなみに先生の中国語は非常にキレイで、シンガポール人の中国語よりも全然聞き取りやすかったです。さすが大陸の人は違うね。

 

ひととおり話したところで、先生から私に質問です。

 

ところであなた歯が痛いのに、なんで歯医者に行かなかったの?

 

至極全うな質問!

 

私が「身体というのは全部繋がっていて、歯が痛いから口の中に問題があるとは限らないし、ネットで調べたら腎虚に関係があると書いてあったので来てみた」と言うと

先生から甲高い声で「很厉害(ヘンリーハイ)!:すごい!」というお言葉をいただきました。

 

そうですとも。シンガポールに住むような日本人で、ここまで東洋医学贔屓なひねっくれには滅多にお目にかかれないでしょう。先生、あなたはラッキーですよ。

 

そのあと色々質問をされ、脈診*1をされ、舌の状態などをチェックされた結果、やっぱり極度の「腎虚」という診断でした。

 

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元々「陰」の体質であるのに、食べ物や習慣も「陰」に偏りすぎているらしいです。

コロナ以降に始めた小食も、少々度が過ぎていたようです。

本当にバランスが悪いおっさんです。

ああ耳が痛い!

 

そして後ろで聞いていた奥さんも、だんだんこの先生に興味が湧いて来たらしく、自分も診察してもらうと言って、私の診察のあとに、私よりもさらに長く中国語で先生と熱く語っていました。

奥さんは目を真ん丸にして「对(ドゥイ)!:そうです!」と何回も言っていたので、ことごとく言い当てられたのだと思います。

 

奥さんの結果は、私とは真逆の「陽」

陽に偏り過ぎていて、とくに「肝」の調子が悪いようです。

肝と言えば、肝心要の肝、肝に触ってすぐ怒り出す短気なうちの奥さん。

 

暑がり屋で、すぐに頭に血が上り、さらに辛い物を食べ過ぎるので、もちろんこれも偏りすぎですね。

二人まとめてやっと一人前(厳密に言うと0.8くらい)の我が夫婦。

 

まぁそんなわけで、二人とも、一週間分のお薬を出してもらいました。

棚にズラーーっと並んだ容器の中に生薬(きぐすり)と思われる粉末が入っていて、その中から先生が数種類選び、計量器を使ってそれを慎重に混ぜ合わせます。

一日2回を一週間分処方してもらいました。

 

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さて気になるお値段ですが、これで1人 70ドル(5,600円)でした。

これは高いとも、安いとも、気軽には言えません。

 

ただシンガポールにある、同じ規模のTCMクリニックの相場に比べると、若干高いのかなという私の印象です。

 

値段の判断って難しいですよね。というか個人の判断によると思います。

自分が満足するかどうかのみが判断基準です。

そう考えるとこのクリニックの金額は、私には「妥当」ですし、一般的な歯医者の金額は「クッッソ高いぞテメー血い吸うたろか」といつも思ってしまいます(歯医者さんの苦労を知らない無知な私の偏見ですよ)

 

あとは一回だけで判断するのではなく、何回通って、総額がいくらで、受診が終わったあとの身体への影響、経験として価値、そんな物までも考慮に入れてはどうでしょう。

 

肝心の病状の経過ですが、10日目くらいから痛みがやっと緩やかに収まり始めたんですが、その間はきちんとお薬を飲んでいただけではなく、自分でネットで調べて事なども実行してかなり頑張りました。

例えば、黒い食べ物(黒豆、古代米、黒ごま、ひじき、海藻)や、ねばりのある物(オクラ、なめこ、山芋)をよく食べたり、足腰を鍛えたり、お腹をお湯で温めたり。

 

この先生、私の病状、原因などは事細かに教えてくれるんですが、食事や習慣の指導はあまりしてくれませんでした。それをしすぎると、お客さんが自分で勝手に元気になって、クリニックに来なくなるからでしょうかね(私の勝手な想像です)

その代わり私が自分で調べた事を先生に確認すると、そのとおり!あんたよう自分で調べたわ!と言ってくれます(笑)

 

そして2週間分のお薬が終わったあとは、とりあえずクリニックに行くのは止めました。上記の習慣はまだ継続しています。

 

口の問題は未だに8割くらいの治りですが、実はそれ以外の事が改善してきています。

たとえば、立ちくらみが減ったり、気力が少し出てきたり、呼吸が楽になったりなどです。

特に呼吸の問題の改善は、予想もしなかっただけに非常に嬉しいです。

 

今回自分が調べた事でわかったのですが、「腎虚」の問題がある人は、呼吸、とくに吸う方に問題が出るそうです。

私は5年前くらいから、ときどき吸うのが困難になるときがあり、それをずっと肺の問題だと思っていました。

20代の頃に車にバチコーン!跳ねられて、あばら5本と肺挫傷をやった事があり、それが原因だとずっと思っていたました。

この呼吸困難が2年前くらいから、頻度をやや増してきて、夜にたいてい起こるのですが、ひどい時は全然寝られないときがあるのです。

 

しかし今回調べてみて、これが「腎虚」による可能性が高いとわかり、そしてそれが今回著しく改善した。こんなに嬉しい事はありません。

 

ちょっともう少し「腎虚」について語りたいと思うのですが、要は私は今までのんびりしすぎたと思うのです。

シンガポールの生活に見切りをつけ3年前からマレーシアに移り住み、毎日ハンモックにゆられて朝から晩までのんびり読書し、朝晩にジョギングや筋トレは軽くするものの、動く量は一般の人の半分にも満たなかったと思います。

 

そ、れ、が、腎虚を加速させた一因だったんじゃないでしょうか。

 

実は「腎」の問題が出て来ると、精気が失われ、白髪が出てくるのです。

なので年の割に白髪が多い人は、おそらく「陰」タイプで、「腎」に少なからず問題があると思います。

 

そう考えて今回、白髪が多い知人、「陰」タイプっぽい知人を、徹底検証してみたのですが、やっぱりずっと座ってのんびりして、マイペースでいるのが好き、みたいな人が多かったですね。

こういう性格って、今までずっと「良い」ものだと思って、「良い」側面しか見てきませんでしたが、まさかこんな「悪い」側面があるとは。

世の中うまくできてんなぁ〜と、改めて思いました。

 

のんびりすればするほど良いと思ってましたけど、やっぱり限度ってもんがあるんですね(あたりめーだろ!)

 

さて、以上が今回、私が経験し、感じた事です。

もちろん今もなお何かを感じ、考え続けていますが。

 

私は別に、みなさんにもぜひTCMに行ってほしいと思っているわけではありません。

普通の病院でも、歯医者でも、自分が信じる所に行けばいいと思います。

とくに治療に関しては、病は気からと言うように、自分が信じる所で治療を受けたほうが、治りも早いでしょう。

私の今回の治癒に関しても、プラシーボ効果は絶対あったと思います。かなり東洋医学贔屓ですから。

 

それにもしかしすると、このあと結局歯がまた病み出して、最後はやっぱり歯医者に行くハメに、なんて事もあるかもしれません。私はその可能性も十分にまだ想定しています。人生って映画やドラマみたくは、うまくいかないものですからね。

 

それにしたって今回も得るものがたくさんありました。

呼吸が改善したのが一番嬉しいですが、他には、人間って本当に色んなタイプがいるんだな!というあたりまえのことを、改めて実感しました。

以前は食品を見たとき「身体に良い物、悪い物」で分けてきましたが、今は「自分の体質で、今の状態にとっては良い物?悪い物?」と考えるようになりました。

 

友人にも、自分はどんな性格だと思う?とか、五味の中で一番好きな味は?とか、上半身と下半身どっちが熱い?などという質問をする、非常にうざい奴になってきました。

そのうち、ちょっと脈を診させてもらっていい?とか言い出すかもしれません。

絶対にあてにならない事を言うので、あまりかまわないでください。

 

というわけで健康もいいですが、病気もなかなか捨てたもんではありません。

 

最後まで読んでいただき、谢谢(シエシエ)!

 

 

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*1:脈診は、患者の脈に触れて拍動の強さや早さ、硬さや太さ、浮き沈みなどを把握することで、疾病の状態を診察する方法。