旅行には必ず思いがけないハプニングや、アクシデントがつきものです。
私も今まで何度か危ない目にあった事があります。今回はその中の一つの話を書きたいと思います。
あれは2008年の11月、二回目の海外旅行で、ひとりでベトナムと中国に行った時の事です。まずはベトナムのHANOI(ハノイ)に行き、そこから電車でSAPA(サパ)という、山岳民族がたくさんいる事で知られる、標高1600mにある町に行きました。
そこで生まれて初めてスクーター(ギア付き)を借りて、町の郊外を走ったりしました。町の周りには大自然が広がっており、ドライブコースとしては最高でした。
それからサパを出て、次は中国に陸路で入りました。
中国でも2週間色んな町を周り、またベトナムに帰ってきました。その時に、サパの町でもう一度スクーターに乗ってドライブしたいな〜と思い、ノコノコとまたサパに帰って来たのでした。
サパに着いたものの天気はあまり良くなかったので、1日目はスクーターは借りず町歩きをしていました。そして町を歩いていると、ある地元の青年に声をかけられました。
青年は、よかったら私のスクーターを1日レンタルしないか?と言ってきました。私は泊まっているホテルでスクーターを借りようと思っていたのですが、話していると気さくでなかなか良いやつだなと思ったので、次の日の朝10時に彼からスクーターを借りる約束をして別れました。
値段は1日で6USドル(1ドル100円くらい)でした。
次の日の朝、私はその日の晩に電車に乗ってハノイまで帰りたかったので、まずは電車のチケットを買いに行きました。
それからホテルに戻りチェックアウトをし、荷物をホテルに預けて、青年と落ち合いスクーターを借りました。ギア付きのバイクに乗るのはこれ初めてだと言うと、ちょっと困った顔をしていましたが、最後は快く見送ってくれました。
そのとき、私の財布の中には258中国元 (3700円くらい) と、140,000ベトナムドン (670円くらい)、それとスクーターのレンタル料が入っていました。
その他に、別のカバンにも200USドルくらい入っていました。
私は前回行った村のもっと奥まで行きたくて、ひたすら山の奥に向かって走りました。たくさん分かれ道がありました、行ったことのない方へひたすら走りました。奥に進めば進むほど道は悪くなって行きましたが、地元の人もバイクで進んで行くので、私も負けじと彼らの後について、1速のギアでゆっくりと進んで行きました。
しかし、あまりにもひどく、スクーターが壊れてしまうのではと思う道があり、あきらめてスクーターから降り一休みしていると、村の子供たちが6、7人やってきました。一人の女の子が木の枝をかじっているので、僕にもちょうだいと貸してもらい齧ってみると、シナモンの味がします。彼らはジェスチャーで、飲み込んではいけない、噛むだけだよと教えてくれました。
子供と写真を撮ったり、一緒にガイドブックを見たりしてひとしきり遊び、時間ももうすぐ夕方という頃だったので、彼らに別れをつげて来た道を引き返しました。
何か一つ目標を達成したような、そんな気分になっていて、鼻歌を歌いながらスクーターに乗っていましたが、気が緩みすぎていたのか、ちょっとしたあぜ道にハマってバイクで転倒してしまいました。
私はすぐに起きてスクーターに駆け寄りエンジンをかけると、なんとかスクーターは動きました。ホッとしたと同時に、自分も少し肩や肘などに擦り傷があるのに気づきました。
そしてまたスクーターに乗り走り始めたのですが、頭の中は少し放心状態でした。
そして少しずつ今起こった事を認識し始めました。私はおもむろにスクーターを止め、車体を点検すると、スクーター前面のボディカウルに少しヒビが入っていて、他にも車体に擦り傷が多少ついていました。
私はまたスクーターで走り出しましたが、頭の中ではこれをどう対処しようかと考えを巡らせていました。
最初は、日が暮れてからスクーターを返せば、暗闇に乗じて傷がバレないんじゃないかと思いましたが、しばらく考えてから、それではあの青年を騙すことになる。
もし返した時にバレなくても、あとから彼が気づいた時に深く傷つくんじゃないか、と思いました。
私は考えをまとめきれぬまま、町に着いた時には日が暮れていました。
そして彼との待ち合わせ場所に辿り着き、彼に何も言わずバイクを返しました。
私はありがとうと言い、彼も笑顔で応えてくれました。
しかし彼が立ち去ろうとした時、私は良心の呵責に絶えきれず、彼を呼び止め、そして全部正直に告白しました。
「実はバイクで転倒してしまって、ここにヒビが入ってしまったんだ。本当に申し訳ない」
すると彼は何食わぬ顔で一言、ああ、大丈夫だよと言ってくれました。
私はその瞬間、やっぱり正直に言ってよかった!と心から自分の決断は正しかったんだと思いました。
それから彼は私に、ちょっとここで待っていてと言って、少し後ろにいた数人のおじさん達のところへ歩いて行ったのです。
私はその時すぐに
ん!? こいつ一人で「バイク貸し」してたんじゃないのか!? まさか!?
と、すご〜〜く嫌な予感がしました。
そしてしばらくして彼が戻ってきた姿を見て、私は驚愕しました。。。
後編へ続く
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