シンガポール漂流生活

シンガポール在住歴12年、日本語教えたり、絵描いたりして、なんとなく生きてます。

散財癖とホームレス

私は日本語を教える仕事をしてます。

2011年くらいから、フリーの家庭教師として、シンガポール人を始め欧米人やアジア人など、非日本人にだいたいマンツーマンで教えています。コロナ以降は、全てオンラインレッスンに切り替えました。授業料は60分で30ドル(2700円)くらいで、シンガポールではおそらく最安値だと思います。

他の日本語教師なんかは、一番高い人で100ドルくらい取る人もいるみたいだし、フランス語などもそれくらい高いらしいです。

 

日本語学校に勤めれば安定した給料ももらえるみたいですが、馬車馬のごとく働かなければなりません。私にはそんなのは性に合わないし、高い給料も必要ではないので、一人でのんびりと教えています。

 

 

60分で30ドルじゃあ、とても安いと思う人もいるかもしれませんが、自分が費やす労力に比べる報酬としては、非常に高いと思っています。なぜなら、私のレッスンはだいたい日本語でくっちゃべってるだけだからです。

しかも異文化や自分の知らない事について、生徒さんたちに教えてもらえたりするので、むしろこっちがお金払ってもいいくらい面白いときもあります。

 

間違いなく、口から先に生まれたと幼少期に言われ続けた希代のおしゃべりクソ野郎の私には天職だと思っています。ですからもう10年以上続けられているし、これからも続けていきたいです。

 

ちなみにこの仕事以外で今まで一番長く続いた仕事は、札幌で3年勤めたグラフィックデザイナーです。その次が池袋の居酒屋の厨房で2年働いたことでしょうか。それ以外はだいたい1年足らずで辞めました。飽き性だと言われますが、自分では見切りをつけるのが早いんだと思っています。

 

そんな私のおしゃべり中心のレッスンで、最近生徒さんから聞いたこぼれ話を2つ、さくさくっと紹介します。

 

ひとつめ

 

シンガポール人の70歳近いおばさんの生徒さんがいます。

40年近く前に、彼女が旦那さんとの一人目の子供をもうけた時、あるフィリピン人のメイドさんを雇いました。そのメイドさんは彼女の家族と16年一緒に住み、3人の息子さんの世話をずっとしてくれたそうです。

 

 

その後、メイドさんはフィリピンに帰ったのですが、そのあとも彼女の家族は毎年みんなでお金を少しずつ出し合って、フィリピンにいるメイドさんに500ドル送っているそうです。

さらに、大きくなった息子さんたちが、フィリピンなどに出張に行くときには、必ずメイドさんを訪ねて、いくらかのおこずかいをあげたりしているそうです。

 

それならば、メイドさんは今ほんとうにお金に不自由のない暮らしをしているんでしょうし、シンガポールで働いたお金で大きな家とかも買ったんじゃないですか?と私が聞くと、実はそんな事はぜんぜんないそうです。

メイドさんがシンガポールで働いて仕送りしていたお金は、家族がすぐに散財してしまうので貯金も何も残っていないし、毎年送ってあげる500ドルも、すぐに携帯を買ったり服を買ったりして使ってしまうのだそうです(笑)

 

メイドさんはためらう事なく、ありのままを報告するし、私の生徒さんの家族も、それを知りながら毎年きちんとお金を送ってあげるのだそうです。

フィリピン人って、だいたいみんなこうで、お金はその日に全部使ってしまって、未来のために貯金しておくとかは考えないんですよ~と笑って言ってました。

 

この話をもっと昔に聞いていたら、フィリピン人ってどうしようもないな~と感じたと思いますが、色々経験した今は、それも悪くないかもなと思います。

とくに、すぐに使われるとわかっていても、意見1つ言わずにお金を送り続けるというところにグッときます。

私も昔、お金の足らない人に寄付などしたことがありますが、このお金はこういう風に使ってほしい、さもなくばもうあげたくはない、なんて思っていたりしました。こういうのは愛じゃなくエゴのような気がします。

 

 

ふたつめ

 

30歳くらいのシンガポール人男性の生徒さんがいて、彼は今東京に住んでいます。

先日、東京のホームレスの話になり、彼は東京ではホームレスが増えているような気がすると言っていました。

シンガポールにもホームレスがいるんですか?と聞いたところ、自分の友達で一人ホームレスがいるというんです。

その友達は彼の同級生で、経済的ではなく、自分の家族とそりが合わなくて、もう何年も家に帰らず、シンガポールでいまだにホームレス生活を続けているそうです。

 

 

寝泊まりは、シンガポール西部あるジュロン地区の、HDBの駐車場の階段だそうです。

生活に必要な最低限のものは、カバンに入れるかなにかして、その階段の所にいつも鎖でつないであるそうです。そこの駐車場の管理のおじさんとも仲が良いらしくて、なんとかなっているんだとか。

 

そしてなんと、彼はちゃんと自分の仕事があって、昼間はスポーツ系のインストラクターの仕事をしていて、身なりはいつもこぎれいにしているのだそうです。

彼はソーシャルスキルがかなり高く、友達とは普通に食事に行ったり旅行したりもするそうです。

しかし、旅行に行ったときは彼だけはホテルに泊まらず外で寝るので、みんな少し心配なのだとか(笑)

 

家賃がかからないし自由だし、いい生活ですねと言ったら、でもこれでは彼女などは絶対にできません、と言っていました。まぁそれはそうかもしれませんが、世の中には物好きがいるもんですし、恋愛だけが人生でもないでしょう。

 

彼から聞いた情報はこんな感じでした。

シンガポールにもなかなか面白い人がいるんだなと感心しました。

みんながどうしても手放せない物を捨てて、みんながどうやったって手に入れられない物を得る、そんな男に私もなりたい。

 

今回は以上です

 

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