先週ホーチミンに行ってまだ疲れが癒えないところですが、今週マレーシアの家に帰ってきてすぐに、友人達とビーチへキャンプに行ってきました。
場所はマレーシアの南部、シンガポールからも船で簡単に行けるデサル（Desaru）という海沿いの小さな町・・・と聞いていたんですが、着いてみたら、全然デサルじゃなく、Tanjung Sedeliという町にあるジェイソン・ベイ（Jason Bay）という浜辺でした。
こういう意思疎通が全くできていない環境で私は生きています。
ちなみにデサルは過去に２回ほど行ったことがあり、今の奥さんとつき合う前に、デートで二人っきりで初めて行った所で、ある民宿に泊ったところ、夜中に二人して悪夢にうなされ、私はトイレに行く途中で兵士の幽霊を見たという曰く付きの素敵な場所です。
今回はけっこうな人数で、私たち夫婦の他に、マレーシア（中華系）が７人、シンガポール人、アメリカ人、イギリス人が１人ずつという、多様な構成でした。
水もトイレも店もなんにもない所だから、夜と朝は各自持ち寄りの物を食べようと言う事で、我々夫婦はフライドビーフンや炒飯、それにタイ風（味付け）焼鳥を容易していきました。
当日は昼の２時頃に集合し、車４台で出発。マレーシア人はスピード狂なので、終止100kmくらいでかっ飛ばし、わが町クーライ（Kulai）からおよそ１時間ほどで着きました。
そして現地に着き車から降りたときに、私はものすごおおくイヤな予感がしました。まずここは私が知っているデサルではないことと、もう一つが、過去にものすごくイヤな体験をした事がある、シンガポールのチャンギビーチ（Changi Beach）にそっくりだったことです。
どちらのビーチも遠浅で、椰子の木の代わりに、少し頼りなくやせ細った松の木が立ち並んでいます。
チャンギビーチもこのような感じの浜辺で、私は昔一人で自転車で折りたたみのイスを持って行き、１時間ほどそこに腰掛けて読書などをして来たのですが、帰ってきてから足が異常に痒い。蚊などはいなかったはずなんですが、どうやら虫さされのよう。
そして次の日はもっともっと痒くなり、５mmくらいだった虫さされの痕が３倍くらいになりました。そこでやっと、生まれて初めてサンドフライ（Sandfly）という名前を聞きました。
その名の通りこちらでは主に砂場、ビーチに生息する虫で、とても小さく一見すると脅威的なものはまったく感じません。肌にとまった物を肉眼で見ると、白い羽根に黒い胴体。
私も最初は小バエかなにかだと思っていたんですが、肌についてそのまま放っておくと、しばらくしてチクッとして、噛まれたことがわかります。そのときはまだいいんですが、これが時間が経つ事に痒みを増し、次の日にはもう肌を彫刻刀かなにかで彫ってしまいたくなります。とにかく半端じゃない痒さです。
私の場合はこの痒みが一週間くらい治まりませんでした。
ちなみに今までサンドフライにやられた所は、シンガポールのチャンギビーチの他に、マレーシアのティオマン島とラワ島という所です。２つとも今回行ったジェイソンビーチからけっこう近いんですよね。行く人は一応頭に入れておいたほうがいいと思います。
話は戻りますが、そのイヤな予感のとおり、このビーチにもいたんです奴らが。
午後３時過ぎにビーチに着いた我々は、すぐに各自テントを設営し、ビーチを歩いてみました。遠浅のビーチには日除けになるものがないので、太陽にジリジリと焼かれているようで、海の水も、ちょっとした温水プールみたいでした。
しかも水もキレイとは言えない感じで、せっかく水着を着ていきましたが、軽い潔癖性の私は泳ぐ気にはなれませんでした。友人が水をかけようとするしぐさをするんですが、いい年こいて本気で拒否ってしまいました。
そしてテントに戻ると奥さんから衝撃的な一言
ここサンドフライいるわ・・・
まぁそうだろうと思っていましたが、さっそく発見してしまいました。
そしてそう言われると、さっそく太ももが痒い。蚊もいるので、蚊かサンドフライかはまだわかりませんが、とにかく急に痒くなってきました。この時点でもう帰りたくなりました。一人だったら間違いなく帰ってます。
一応友人が虫よけスプレーを持ってきていたので、すぐにそれを貸してもらって足にふきかけました。ハンモックを張って、読書にでも集中しようと思ったのですが、まだ４時なので日差しが熱い、汗が出て気持悪いが水道がない、蚊とサンドフライが怖い、明日になるまで帰れない、私はさっそく気が狂いそうになりました。
しかし虫除けスプレーと蚊取り線香のおかげか、さほど刺さされることなく夕方までなんとか過ごします。
１８時頃からキャンプファイヤーや、料理を始めました。私の仕込んだタイ風焼鳥も、炭火でじっくりと焼きました。自分で言うのもなんですが、なかなか美味しかったです。そして晩ご飯のあとは、果物を食べたりビールを飲んだりして、会話も弾んではなかなか楽しかったです。
そして唯一、このビーチいいなぁと思ったのは、猫が多いことです。その数ざっと見繕ってもビーチ全体で２、３０匹くらいいたと思います。そしてみんな人懐っこくて、テントを設営してても、料理してても、浜辺で黄昏れてても、常にかまってちゃん猫が四方から集まってきました。
猫好きは萌え死んでしまうかもしれません。
もう一つ素晴らしい所がありました。星がよく見えるところです。ちょうどその日は水瓶座流星群が見えるだかなんだか言われていて、結局そんな流星群は見えませんでしたが、吸い込まれそうな星空でした。
そしてついに寝る時間がやってきました。深夜１時頃にテントに入ると、奥さんが先に寝ていました。私は夜は冷えるんだろうと思って、上着に長ズボンを着て寝ようとしましたが、テントの中が思ったより暑かったので、全部脱ぎTシャツと短パンで寝ました。するとしばらくすると、痒い！
マジかよ！テント中にいるのかヤツが！
よく見ると奥さんも、この暑いのにブランケットをかぶり完全に自分を覆って寝ています。すでに奴らの存在を確認した様子。私もブランケットを被ってみたのですがやはり暑い。
眠いし、痒いし、汗で身体はベトベトするし、また気が狂いそうになりました。
けっきょく外に出て、蚊取り線香をなんとか探して、テントの外と中に１ずつおきましたが、今度は煙かったので、テントの上から吊るすために悪戦苦闘。
そんなこんなでいつしか眠りに着き、朝起きると朝日でテント内がものっすごく暑い。蒸されているまんじゅうの気持ちがわかりました。
外に出るとみんな朝飯を食べていましたが、私は本当に最悪の気分で、周りに刃物が置いてなくてよかったです。
私は朝飯も食わず、何をしていいかわからずボーッとしてましたが、奥さんから、さすがに暑すぎるのでもうすぐみんなテントをたたんで帰る予定だと聞いて、飛び上がりそうなほど嬉しくなり、感謝の気持ちで満たされ、脳内でSuperflyの『やさしい気持で』が流れてきました。
この地獄からもうすぐ解放される！日常の生活に戻れる！
私はこの日常に感謝する気持ちを再確認するために、このキャンプに招かれたのだと、はっきりと自覚しました。
そしてさっさとテントをたたみ、かわいい猫ちゃんたちに見送られながら、地獄の浜辺をあとにしました。
実は他のみんなも、痒みと暑さでほとんど寝られなかったみたいですが、唯一イギリス人とアメリカ人の２人は、ただの一カ所も虫に刺されなかったようです。アメリカ人の青年は、常に水着一枚だったにもかかわらず。
非常に興味深いですが、やはり欧米人とアジア人では、体質に決定的な違いがあるのかもしれません。彼らが無敵のスターマリオに見えました。
今日はキャンプから３日目ですが、刺された箇所は１０数カ所で、奥さん共々痒さにもだえています。以上、地獄キャンプの報告でした。
